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始まり

俺は、子供の頃に思い描いていた大人になったんだろうか。自分の夢はしっかりと叶ったのだろうか。

いいや、何一つ叶っていない。今の俺は、ただひたすらに日本という国を守るため、国民の平和を守る為に、警察という組織に所属している。そんな寂しい現実。


寂しいとは言ったが、赤枝(あかえだ)は今警察組織のトップにあたる、警視総監である。楽ではないが、辛くもない。昔は刑事課に所属し、朝から晩まで犯人逮捕に奔走していた。あの頃が良かった。と物思いにふけったりする事がある。


仕事はいつも5時には終わる。帰りは運転手付きの黒いクラウンだが、自分が望んでそうしているわけではない。歴代の警視総監たちが作った風習のようなもので、本当は一人でゆっくりと帰りたいのだ。


「お疲れ様でございました。警視総監」


深々と頭を下げて俺をお出迎えしてくれたのは運転手の玉木だ。彼は線が細く一見弱っちそうなのだが、目力が嫌に鋭い。七三分けにした髪、吊り上がった眉毛。とても三十代には見えない容姿だ。それは、玉木があまり高身長ではないからだと赤枝は思う。


「何処かへ寄りましょうか」


玉木はいつも機械のように決まり切った言葉をかける。赤枝は帰りに寄り道をする事はない。家に帰るまでが仕事なのだ。


「いいや、真っ直ぐウチへ向かってくれ」


「かしこまりました」


車窓からチラリと横を見ると、お婆さんが困っているのが見えた。いや、実際には困っているであろうお婆さん……というのが正確であろう。何故なら--


「ヒァーーーー!ハハハハ!お婆さんの物は俺の物!俺の物も俺の物ダァアァァ!」


そう。怪人である。

2050年、ある国のクローン技術の躍進により人と生物の遺伝子を組み替え、混合させるという画期的、いや、悪魔的な実験が成功したのである。

今や怪人の存在は周知の事実であり、それらを討伐するヒーローなる者まで現れている。



ウゥーーーー!!!!ウゥーーーー!!!!


町のあちこちに設置してある警報機が怪人の出現を知らせている。赤枝の居るこの町A東京は1日に怪人が2〜3人現れる。今日の出現はこれが初めてであった。先程お婆さんを襲っていたのは、雑食怪人ヤスヒロである。


「や、やめておくれ!孫に!孫に作ったおはぎなんだよ」


「うるさーい!つべこべ言わずに渡せばいいんダァ。俺はお腹が空いているんダァ!」


玉木は車のミラー越しに赤枝の表情を伺っている。どうしますか?と言わんばかりの目配せである。赤枝はハァ、とため息をつきミラーの中にいる玉木に告げた。


「信号を左折した先のコインパーキングに車を停めろ」


「け、警視総監っ!事は一時を争います。ここに車を停めれば--」


「バカヤローがっ!」


赤枝は車内の窓がビリビリと痺れるほどに大きな声を上げて玉木を叱責する。


「市民のみんなに示しがつかん。ここは、駐停車禁止区域だ」


「で、ですが、警視総監」


「町の安全も、交通ルールも……守ってこその警視総監だ!」


「け、警視総監っ!」


分かりましたと口をぎゅっと締め、何かを決心したような表情の玉木は青信号を左折する。物凄い勢いでコインパーキングに入り、バック駐車で角の4番へと駐車する。


「では--行ってくる」


赤枝は燃えるように赤いボディスーツに身を包み、真っ赤なマントを翻しながら、警視総監は怪人のもとへ向かう。そう、小走りで。

少し短かったですけど、これから少しずつ世界平和のために書いていこうかと思います。


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