息子の恋バナは蜜の味
それから10分くらいたったのだろうか、やっと少女は泣き止み僕から離れていった。落ち着いた彼女と色々な話をした。名前は北野友奈、年齢は12歳、年齢を聞いたとき思わず(えっ…)と声を上げそうになったことは言わないでおこう。声を上げそうになったのも理由があり、この少女、友奈ちゃんは身長が推定ではあるが130センチ後半から140センチ前半位の身長しかなく顔も幼いので小学校3・4年生ほどだと思っていたからである。話を戻そう。友奈ちゃんから年齢を聞いたあと、次はこちらが自己紹介をした。名前は小林想大で、高校1年生、16歳でバスケットボールをしてるなどの簡単な自己紹介をした。
「この人が私の未‥の旦…様かぁ、小‥友奈えへへ」
なにか友奈ちゃんはボソボソと顔を朱に染めて言っているがうまく聞き取ることはできなかった。そんなやり取りを個室の扉が開き女性が入ってきた。その女性は友奈ちゃんそっくりで友奈ちゃんが大きくなったらこうなるのだろうと想像することができた。おそらく友奈ちゃんの母親なのだろう。
「はじめまして、北野優里です。この度は娘を助けて頂いてありがとうございました」
「いえいえ、人として当たり前のことをしたまでです。それより友奈ちゃんを助ける事ができて本当に良かったです」
そんな会話をしているとまた扉が開いた。
「想大、大丈夫か」
ものすごく心配した声色で僕の母、小林靖恵が入ってきた。そんな母に対し僕は
「大丈夫だよ、肋骨2本にヒビが入ったくらいだから」
と答えておく。直後に友奈ちゃんから視線で(大丈夫?)と思われているのを感じたので心配する必要はないと目で訴え、頭をなでておいた。小学校6年生の頭を撫でるのはどうなのかと思ったが、友奈ちゃんは嬉しそうにしているので、そのままにしておいた。親たちから不穏な目線を感じるが気づかないふりをしておいた。
「こちらの方は?」
と母が優里さんに向かって言うので言おうと思ったが一足早く優里さんのほうが先に言い、二人は互いに自己紹介を始めた。あらかた話し合うと母は
「1回先生とところ行って話聞いたあとにあんたの家まで行って着替えとって来るけど何かいる?」
と聞かれたので、
「机の上にある読みかけの本を取ってきて」
と言っておいた。
「私も会社に戻らないといけないので帰らしてもらいます。友奈どうする家に帰る?」
と優里さんが聞くと
「1人で帰るから大丈夫」
と言った。
そして2人が出ていこうとドアノブに手をかけたその時母がわざとらしく
「そーだ、友奈ちゃんにちょっと話すことがあるから友奈ちゃん借りるね」
と言い、「何の話をするの?」と聞くと「秘密」と言われた。そして友奈ちゃんが連れ出され、外の廊下で話しているらしく、少し会話が聞こえた。
「友奈ち‥、想大のこと…きなの?」
「なんでわかったんですか」
「そりゃ、あんな目してたらね」
「想大さんは今、彼‥いるんですか?」
「大丈夫よ、誰もいないわ」
「別に年の差があっても構わないし、なんなら結…てもいいわよ」
「そ、そ、そんなことまだ早いです」
「まあ、応援してるから頑張ってね」
「はぃ」
大まかな部分は聞こえたが母は何を応援するのだろうと考えていると再び扉が開き真っ赤な顔の友奈ちゃんが入ってた。おそらく知らないおばさんと話して恥ずかしかったのだろうと思った。