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深淵からのお手紙  作者: 冷夏ヒビキ
1章 プロローグ
1/9

暗闇への逃避行

最初は“王道を征く”普通の恋愛小説を目指していたんですけど、どうやら自分にはそんなもの書くことができないようなので、設定をある程度引き継ぎつつ別作品に生まれ変わらせます。スイマセン。

「行ってきます」



 その声に孕んでいる感情はあるのだろうか…いや、無でしかない。真夜中、一人で暮らしているマンションの部屋の中へ声をかけ、真夜中の街へ想太は歩きだし河川敷まで向かう。



 想太のこの行動に対して咎める大人は誰一人いない。両親、弟、妹は交通事故で亡くなり、最近まで一緒に暮らしていた父方の祖母も急に体調を崩し、ぽっくりと逝ってしまった。



 母方の祖父母や従兄弟、叔母、叔父などの肉親はいるが各地方に散らばっておりそんなに会えるわけでもない。



 咎めるとしたら警察だろうが、紺のホンブルクハットをかぶり、黒のコート、ジーンズ、静脈血のような色をしたマフラーをした彼を高校生と見破るのはほぼ不可能だろう。なんなら不審者のようにも見えるだろう。



 しかし、彼がなぜこんな時間に外を出歩く必要があるか、それは自分の気持ちを少しでも紛らわすためだろう。



(何かが足りない・・・何かが欠けている・・・)



 想太は常々そう思っている。想太は日頃の自分に思いを巡らしてみる。感情はある…はずだ、幼馴染たちとは笑い合えているし、その時間は楽しく感じている。その2人は付き合ってはいるが、関係性はずっと変わっていない、幼い頃から。独りぼっちではない、しかし何かが足りない。



「何が足りないのだろうか」



 想太にとって夜はそんなことを永遠と考えることに適した場所であると言える、その声は誰にも聞かれることはなく深淵へと溶け込んでいく。しかし、想太は学生だ。明日に支障がでてはいけなし、朝は弁当も作らねばならない、今日も特にこれといった考えは出ず、最後に河川敷の凍るような冷気を肌で感じて帰るのだった。



 帰りの途中で無性になにか食べたくなった想太はコンビニへ向かおう進路を変えて横断歩道を見ると、赤信号の中を誰かが俯き、おぼつかない足取りでトボトボと歩いているのが見えた。小さな体躯と短い髪から性別は男、歳は小学生くらいと想太は推定した。



 道路に車が通らなかったら想太は行動を起こす必要はなかったが、残念ながら行動を起こさなければいけなそうだ。



「おい、車来てんぞ、早く渡れ」



 しかし、少年の耳には届いてないようで変わらずトボトボと歩いている。想太は「はぁ~」とでかいため息をつき、横断歩道を駆け出す。手を伸ばし少年の腕を強引に掴み、引き寄せ、抱きかかえ衝撃に備える。



 直後に「ドッ」と強い衝撃を感じ弾き飛ばされるのがわかった。体が軋むような嫌な音を感じると今度は地面に体を強打し、滑ってるようで体の至るところが熱く感じる。止まったことを感じて、目を開けてみると、車道のど真ん中にいたので歩道に移動するために自分の胸の中にいて驚いた顔をしている少年を開放する。



「歩道…まで歩…け」



 想太は少年の顔に違和感を覚えるもこんな緊急事態にそんなこと考える余裕もなく這って歩道まで歩く。想太は自分のポケットに手を突っ込みスマホを出し、少年に渡す。



「救…急は…頼ん…だ」



 薄れゆく意識の中そう言い残し、想太は意識を失った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 深淵から引きずり出されるように、想太の意識は覚醒していく。うっすらと目を開けると黄昏時なのかして窓から差し込んでくる夕日が眩しい。すると突如頭痛の痛みに侵される。



「諤昴>蜃コ縺帚?ヲ諤昴>蜃コ縺帚?ヲ縺雁燕縺ョ螳カ譌上?諱ィ縺ソ繧停?ヲ諞弱@縺ソ繧」



「なんだ…何を言っている」



「諤昴>蜃コ縺帚?ヲ諤昴>蜃コ縺帚?ヲ縺雁燕縺ョ螳カ譌上?諱ィ縺ソ繧停?ヲ諞弱@縺ソ繧…」



「そ…そう……想太!」



 想太はその声と体を揺さぶられる感触に反応し、横を見る。想太が寝ているベットの横には幼馴染の二人がおり、想太のことを心配そうに見つめていた。



「おお、響と瑠璃か見舞いに来てくれたのか」



「想太大丈夫?ずいぶん魘されてたけど」



「ふふ」



 瑠璃が間延びしない話し方をすることが想太には珍しく少し笑ってしまった。



「ああ、大丈夫だよ」



「ほんと…か、まあ笑えるなら…大丈夫…差し入れだ」



「今日は珍しいことが続くなあ、瑠璃は間延びしてないし、響は優しいし」



「…?」



「そ~だね~」



「…?」



 そのあと2人から話を聞いたところ2日ほど寝込んでたらしい。2人は学校から預かってる書類を想太に渡したあと響が差し入れとして持ってきたリンゴ(想太が剥いた)を片手に雑談し、しばらくすると帰っていった。



「先生の話だったら明日でも退院できるみたいだから、プリントに目を通しとかないとな~」



「菴輔r縺励※縺?k縲よ?昴>蜃コ縺吶?縺?縲よ→縺ソ繧呈?縺励∩繧停?ヲ縲…」



「なんなんだよ!」



 想太の心にできた、いや蘇ってきた深淵のようにどす黒い感情は消えそうにない。

自分の投稿ペースは学生なので、まばらであり時間があくときもあると思いますが、気長に待ってもらえるとありがたいです。

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