第3話 やってきました異世界?
第1章 はじまりのはぢまり?!
第3話 やってきました異世界?
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俺は草原の真ん中で倒れていた。
どこだかわからない場所で俺が生きていた世界で安崎と名乗っていた神によってかけられた魔法によってこんなとこに飛ばされていた。
どうも相当勢いよくここに投げ込まれたようで身体が痛い。
もっと大切に扱えよとも思うけど、どうもやってはいけない事をやらかしてしまったようだから文句は言えない。
ゆっくりと目を開けると西の空に太陽が沈みかけ、東の空には薄っすらと星たちの輝きがみえる。
「日暮れか・・・。こんな綺麗な夕焼けは初めて見たかもしれないな。」
素直にそういう言葉が漏れてしまった。今までの俺からじゃ考えられない事なのだが。
現状を確認するために辺りを見回してみるも、遠くに大きな森が見えるぐらいで見渡す限りの草原だった。
こんな場所があるとは―そう思いつつもこれからどうすべきなんだろうかと考えたが、下手の考え休むに似たりと言うように考えるのを辞めた。
まずはこんなとこに投げ出したあの神が悪い。
「安崎のバカヤロー!!」
そう叫んた。心の底から叫んだ。
『うっせー。お前のお蔭でこっちは今大変なんだ!とりあえずあの世界ではお前も死んだ事になっているから、こっちの世界で頑張れや。』
なんか無責任な事言ってやがるのですが。
『それと、自分が倒れていたとこよく見てみ。杖と箒があるだろ。それ使えば色々と出来るから。箒に乗って思い浮かんだ言葉唱えればええんやで。』
えっ?それってどういう事?!この世界は俺が生きていた世界とは別って事なのか?
『そのとおりやで。お前さんの好きな魔法とか使える楽しい世界やから楽しみながら生きるがええで。ああ、嫁さんごめんなさいごめんなさい、約束しますから俺の仕事道具隠さないで―』
おう、良い感じに修羅場迎えているようだ。
『そんなわけで、あとは適当にやってくれ。魔法の使い方?そんなもん適当にイメージすればどうにかなる。こっちは説明している暇なんてないから。嫁さん、ごめんなさい、別の世界で前から気にしていたネズミーワールドを貸切デートしますのでゆるして―」
チッ、爆発して消滅しやがれ。説明もせずに放置って仕事しろーと怒鳴りつけてやりたいが、こっちも日が暮れはじめているし、何処かわからない場所に放置されていても何があるかわからんから、行動を起こさないと。
起き上がり、軽く全身を叩き服や身体についた汚れを落とす。
なんか身体や服がぼやけて見えてどうなっているかはわからんけど、多分これで大丈夫なハズ。何かあればアイツが悪いんだし。
足元をみると言われたとおりに杖と箒が落ちていた。
これを使えって事なんだろう。杖の見た目は持ち手の部分にカラスのような鳥が彫られていて、赤色の何かでコーティングされた至って普通の杖のようだ。
一緒に落ちていた箒はというと・・・竹箒のようにもみえるが、掃く部分が竹ではなく何やら細い繊維か獣の毛でできていて持ち手の部分がよく乾燥した竹のような薄い茶色の色をしているのに対して掃く部分(穂といったらいいのか?)は、濃茶色をしている。
何と言ったらいいか、俺のセンスじゃない代物だ。これを使うしかなさそうだから諦めて使う事にした。
箒を手に持ち頭の中で飛行イメージを思い浮かべた。最初は何も反応がなかったが、ゆっくりと光を持ち始め、箒が腰の高さで水平になって停止している。
これに乗れって事なんだろうけど、跨って乗ったらいいのだろうか?いや、跨って乗ると尻に穂の部分があたって気持ち悪そうだ。それに跨ぐと大切なとこに当たって気持ち悪そうだしな。
箒に腰をかけ、頭の中で浮上するイメージを描くと箒が浮き上る。
魔法の使い方は頭の中でイメージすればいいようでそんなに難しくはない。
「思ったよりも簡単じゃん。」
そう、それぐらい簡単だった。これだけ簡単に飛べるのなら楽しまなければ勿体ない。
周囲の確認を兼ねて、おもいっきり飛び回る事にした。
ビューン―
体感で80km以上は出ているんじゃないだろうか?
無茶苦茶速度を出して飛ぶのは楽しい。超楽しい。なにせ邪魔するものもないし、車とは違い先を走る遅い車や対向車など一切邪魔がいない。
「やべぇ楽しすぎる」
ニヤニヤがとまらない。もっと速度を上げてもいいかもしれない。
俺が通り過ぎると、地上には物凄い風が吹き抜けていたようで、何やら騒がしい声が聞こえる。
「Gururu」「Gyaaaa」「Bufufu」
どうも地上にいたゴブリンやコボルトやオークを刺激してしまったようだ。
怒り狂う魔物達が俺に向かって石や槍を投げてくる。
「うざってぇな。楽しい暴走を邪魔すんな!」
空を飛ぶのがあんなに簡単にできたんだ。きっと魔法攻撃も簡単にできるハズ―できるよね?タブン。
落ちないように左手で箒の柄を握り、右手には杖を持ち、頭の中で簡単な攻撃魔法『ファイヤー』をイメージしてみる。
杖の先に火の玉ができ、それを魔物に向かって飛ばす。
ボフッ
適当に飛ばしてみた『ファイヤー』が1匹のゴブリンに命中し燃え上がった。
「こんな感じで攻撃できるんだ。本当に魔法の使える異世界か。」
攻撃魔法も簡単に使えるのがわかった俺は「俺Tueeeeee」出来るんじゃね?!と調子に乗ってしまい弾幕STGのように『ファイヤー』を飛ばせるんじゃとやってみた。いや、やりたかったんだよ、この時は。
杖から四方八方に飛ぶファイヤーの魔法。
分かりやすく言えば、板野サーカスと言われた超時空要塞なアレのミサイルのような感じ。
あまりにも面白いぐらいに魔物が吹き飛ばされたり焼かれていく。
「あはははは。見ろ、魔物がゴミのようだ!」
何処かの大佐のように地上を見下ろし、高笑いをしながら言い放つ俺。
調子に乗っていた、乗りすぎてた。そして気が付くのが遅かった。
四方八方に飛ばした『ファイヤー』が魔物達のいた森や草原を火の海にしていた。
ヤベェ・・・やっちまった。まあ、この世界に放火という罪があるかどうかは知らんし、目撃者もいないだろうから知ったこっちゃないで逃げ切ればいいのかも知れない。
そう甘い考えをしていたんだ。だってそりゃあの光景は現実逃避しないとやってられなかったし。
やらかした事が事だっただけに、大変な事になったのは言うまでもない。
なにせ、勢いよく燃え広がる森の方から何やら大きな物体が飛んできたからだ。
バッサバッサとこっちに向かい「Gyaoooo」という雄叫びを上げながら飛んでくる物体。
『ゲッ飛龍じゃん。ヤベェかも。』
気がついた時には遅かった。調子に乗って魔法をぶっ放っていたお蔭で、どうも力が入らない。
何とか飛行するのには問題ないんだけど、この状態で攻撃魔法を放つのは危険かもしれない。
とりあえず今は逃げるしかない。
持てる限りの力を注ぎ、速度をあげた。裏なんて振り返っている余裕なんてない。
どの方向に飛んでどれぐらい逃げ回ったかは覚えていない。
結界と思われる薄青い光が囲む街のようなものが見えたのでその中に逃げ込む事にした。
そうしないと命の危険もあったし。
予想とおり青い光は結界だったようで、俺を追いかけてきた飛龍はそこから中には入れずにいた―
◇◆◇◆◇◆
一人の少年が月明りの下、テラスに佇んでいた。
『胸騒ぎがする。』
テラスから街に張られている結界の外をみていた。
夜だというのに結界の外が明るかった。
『なんか街の外が騒がしいような気がするんだけど。何か起きているのかな・・・。』
心の中が不安で溢れそうになっていた。
「はあ、僕はこの状況をどうしたらいいのかわからない・・・」
そうため息交じりに呟き下を向く。
何時までもうだうだ悩んでいても仕方ない―そう思い部屋に戻ろうとした時―
◇◆◇◆◇◆
結界内に入れたのは良かった。逃げ切れた。助かった。そう思っていた。
「まずい、飛行魔法の制御ができないー」
この時の速度は50km以上は出てたと思う。
「ひえぇぇ。どうしたらいいんだー」
思わず涙目。そんなだったから仕方ない。
気がつくと目の前に大きな家が見え、そこのテラスには人影が。
『とまれないーとまらないー!』
心の中で声にならない叫びをあげていた。
ドスンッ!!
うん、急ブレーキをイメージして何とか止めようとはしたんだけど無理でした。
テラスにいた人に思いっきりぶつかり、建物の中に飛び込んでいた。
やっちゃった・・・やっちゃったよ。完全に人身事故だよな。これ―
◇◆◇◆◇◆
「まさかアレがあの世界にいるとはな・・・」
男が呟く。
「そうですね。しかし、良く見つけましたね。」
女が返す。
「いや驚いたよ。しかも不確定要素があるにはあったのだが、あのように変質するとは思わなかったからな。」
「あの世界は何がおきるかわからない要素多いですものね。」
「そうだな。あとは上手く事が運べれば切り札の一つになるからな。」
「ええ、もうあのような悲劇は懲り懲りですもの。私達も道化を装いながら事を進めるしかありませんね。」
「ああ―」
お読みいただきありがとうございます。
まだなろうのシステムに慣れきっていませんorz
やはり習うより慣れろでやっているのがよろしくないのかも(´・ω・`)
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ここに書いていいのかわからないけど、4話より先に最終話の後の後日談が書きあがっていたり。
ある程度どのような流れにするかは決まっているので問題はないとは思いたいんですけどね。