虎穴に親がいたパターン
某有名VR作品の集計を手伝っていました。
たのしかったですまる
なにこれヤバい。
なにがヤバいってSTRが300の大台に乗っちゃってるよ。
それによく考えるとククリナイフ分の攻撃力も加算されてるんだよな?
今ならポム子にも攻撃が通るのでは?
まあ他が貧弱すぎて一瞬でミンチにされるだろうけど。
それとまたスキル増えてんな。
確認しとこ。
『死克』 上限値 50
キル数が5つ加算される毎に、STRが1上昇する。キル数は戦闘終了時にリセットされる。
まーた火力強化ですよ! いいんだけどね!!
対群で光るスキルだけど、発動条件がそれなりにキツいんだよなぁ⋯⋯。
戦い方が素手かナイフだから、範囲攻撃での殲滅戦は得意じゃないんだよ。
それでも群体タイプの敵にはめっぽう強いし、これから先の敵は全員蚊柱でも纏っててくれねーかな⋯⋯。
ついでにククリナイフの片方不明だった部分も判別してるといいんだが。
『ヤガー』 STR+90
彼の者は死を尊ぶ。故に一撃を餞に、生と死を繋ぐ。
・即死ボーナス1
・初撃ボーナス1
おっ、見えてんじゃん。
即死ボーナスね⋯⋯。
ただこのボーナス1ってのがどれだけ効果あるのか分からねーな。
それとこのテキスト。
死を運ぶとか齎すとかじゃなく、生と死を繋ぐってのは何か意味があるのかね?
ただのフレーバーなのか、それとも⋯⋯。
まあ今考えたところでどうせわからんし、試し打ちで外出てみるか。
◇◆◇
「おい、ちょっと待て! 詰所まで来い!」
出れなかった。
よく考えたら威圧の効果が強くなってるから、すんなりいくわけないよな。
え? 指名手配?
まじかよ威圧以前の問題じゃん。PKのせいか?
流石にブタ箱行きは勘弁なので通らせてもらいますねー!
「貴様この絵と同じオグゥゥゥ!!!」
あっ。
いやほんとすまん。
思ったより力が上がってたみたいで、手加減失敗した。
三回転半して吹き飛んでいった衛兵に謝罪しつつ、一気に門を駆け抜ける。
まだ数人衛兵が残っているが、滅多に閉めることが無いのか馬鹿でかい門が全開で固定されているので、もはや遮るものはない。
アディオス!
さて、ポム子と行った森まで来たな。
適正レベルが20くらいだった筈だから、今回の目的にはちょうどいいと思うんだけど。
とりあえず死克のスコアを溜めつつ、即死率の検証か。
おっ、あれは“割と苦手な部類”のクソデカ蜂じゃないか。
オラッ! その針落とせ!!
STR値的に直撃はまずいので、50センチはある蜂の腹部をすれ違い様に浅く切った。
ん? なんだあの靄。
赤く光る斬痕から、薄黒い靄が出て⋯⋯。
パキッミキッゴキッメリメリッッッ!!!
⋯⋯うわぁ。えっぐ。
傷口から靄が出たと思ったら、無数の黒い小さな手(?)が出てきて蜂を折り畳みやがった。
そのまま小さく潰れた蜂が手に引っ張られ傷口に吸い込まれて……なんで外にある傷口に体が収まるんだ? こわっ。
あんなもん人で発動したら……いや考えるのはやめとこ。
それにしても1発で発動とはなかなか高確率なのでは?
発動しねぇ!!
あれから死克上限値である250匹まで狩ったけど、1回も発動しなかった。
試行回数がそこまで多いわけでもないから何とも言えんが、多分1%ないのでは?
ま、まあ即死なんて元から頼りにしてないから……。
しょっぱいなんて思ってないよ。ホントダヨ。
ちなみに針は28本、羽は76枚も落ちた。レアドロの顎は2個。
ともあれ、これでSTRが365まで上がった訳だが⋯⋯。
ぶっちゃけ既に火力過多なので、攻撃力に関しては一応上限値まで持っていっただけだ。
俺が確認したいのはその後。
この上昇効果のリセット、つまりどの時点で戦闘終了になるのか、ということだ。
少なくとも、周りに敵がいないこの状況でも効果は継続するらしい。
俺の予想通りなら、かなり化けるだろう。
とりあえずこれは大丈夫だろうというラインから攻めていくか。
うん、前言は撤回しよう。
このスキルは使える。
時間経過や移動はもちろんのこと、何かに刺しておけば暫くしても効果が残ったのだ。
つまり戦闘終了というのは、自発的な武器の放置、収納や納刀、それから発動者の死亡が条件なのだろう。死亡は試していないが。
ただそうすると1つ疑問が残る。
素手での戦闘だとどうなるのか、である。
これは正直よく分からなかった。
構えている時に効果が切れることもあれば、構えていない時でも残ることがあったのだ。
多分意識的な問題だと思うのだが、こればっかりは正確には測れないな。
でもここの運営ならそれくらい出来ても不思議じゃないな。
さて、死克の効果も切れてるし、そろそろ戻るか。
無事に街に入れるといいんだけど⋯⋯。
◇◆◇
……そろそろ方向音痴を否定出来なくなってきたな。
「ここどこだよ!?」
思えばなぜあそこで戻らなかったのか。
森を抜けると別エリアに辿り着いてしまい、引き返そうとして前方にレアっぽい敵を見つけてしまったのだ。
当然ゲーマーとしては追いかけるしかないだろ?
その結果がこれなんだがな!
辺りを見渡すと、滅びた近未来という言葉が似合うだろうか。
明らかに現代では再現不可能であろうSFチックな機械群が、そこかしこに崩れている。
地上には明らかに人工物である何かが疎らに動いているのが見える。
そしてそれを空にいる鳥のような影が爆撃した。
エリア:見棄てられた理想郷
推奨レベル:65
用語解説
・キル数⋯⋯このゲームでは、人、もしくは敵とシステムに定められたエネミーのみが加算されます。
・〇〇ボーナス⋯⋯主に装備に付帯している追加効果です。ボーナス値が高いほど、確率や効果が上昇します。
・フレーバー⋯⋯そのモノをより際立たせる味付け。要するに説明文ですね。かのエンプレス構文もフレーバーテキストの1つ。
・衛兵⋯⋯強さはピンからキリまで。街の衛兵のレベルは凡そ30〜70といったところ。王都の騎士団長ともなると150を超えていると噂されています。
・フォレストビー⋯⋯その名の通り、森の全域を生息地とする蜂です。フォレストクイーンビーを中心としたコロニーを築いており、単体では推奨レベル10、群れると推奨レベル30にまで脅威度が上がります。
・見棄てられた理想郷⋯⋯低レベル帯に隣接しているため、初心者の犠牲が後を絶たないそうです。更に旨みも少なく、奥地に進むほど推奨レベルが上がっていくという特徴から、未だに開拓が遅々として進んでいない土地となっています。