天まで届く高い塔
時代の象徴とはいってみたものの、さて何を建設するのだろう。
おや、人々があるところに向かっている。いったいどこへ向かうのだろう…。
こうして天空から人類の居住区を見てみると、まるで人間たちは蟻んこのように見える。
そして人類の居住区は、まるでミニチュアのセットのように見える。
「神様、あれは時代の象徴を建設するための、石切り場というところに向かっているんですよ。
この場所には神様の住む天空まで届くような高い塔を建てる予定です。」
時代の象徴は、天空まで届くような高い塔か…。
本当に、天空まで届くような高い塔を建てれば、本当に神様に出会える、神様の姿を見ることができると、思っているのか。
まだ科学技術も未発達で、迷信がそのまま信じられているような時代だから、そのあたりは大目に見よう。
神様である自分がスペシャルボーナスを使用したが故に、町の人々を石切り場の作業に駆り出すことになった。
労働の場を提供したといえばしたということだな。
自分が労働するのは嫌なのに、人を労働させるのは、こんなにも快感になると、そういうことだろ。
さて、今までのところ、人間の居住区域は、このあたりだけのようだ。
他の区域には、血の池のような湖や、砂漠、荒れ地、湿地帯、雪原などが広がる。
うっそうとした密林が生い茂るようなところもあれば、雨の降らない砂漠地帯、草木一本生えない荒れ果てた不毛の大地、そうかと思えば高温多湿の熱帯の湿地、さらには一年中雪と氷に閉ざされた雪原地帯。
この世界はいろんな表情を見せるが、いずれも人類未踏の地。
そんな中でも、雪原が広がる地域は、どうやらはるか北と、はるか南にも、そういう地域があるようだ。
どうやらそこが、この世界の北極と南極のようだ。
そして、広大な海が広がる。そこはかつて、高度機械文明があった大陸があったところ。
海の底には、はるか昔に沈んだ高度文明の都市遺跡が沈んでいる。そして永遠の眠りについていることだろう。
「おや、気がついたら、石切り場で切り出した石を、人々が運び出している、そして1つ1つ積み上げ始めているぞ。」
石切り場の作業の様子を天空から神様として見ている、俺はなぜだか有頂天になっていた。
そして気がついたらあっという間に時は流れ、
暦の上では異世界暦2年の元日を迎えることになった。
この日ばかりは石切り場の作業も休みで、人々は新年を祝っていた。
しかしこの時代の象徴というのは、いつになったら完成するのだろう、もしかしたらこの先あと何年もかかるような感じになってきたな…。