表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/4

やっと行けて主人公になったんだけど! なんで最終回なんだよ!

 あれから、一典は、多少疑心暗鬼になっていた。


(お、俺は……本来ならば……主人公か……それより美味しいキャラのはず……)


 あれから、またもや一ヶ月弱。今日は漫画の新刊が出る。


(……くそ、パツンのやろう。宿題出しすぎだろうが)


 大量の宿題が出されていた。今日から、三日、休みに入る。その為か、学校で、大量の宿題を出されていた。

 そんな事を考えつつも、漫画の新刊が出るので、友人とゲームセンターに行った後、いつもの本屋に立ち寄り、その新刊を買って帰っていた。


 樽金一典は、周りから見ても、普通の高校生。宿題が出れば、一応やる。


(なんだよこれ……こんな範囲で出しやがって)


 自分の部屋で、机に向かって宿題をしていた。


(これ……今日じゃ終わらん……無理だろこれ)


 区切りがいい所で、宿題を終わり、買ってきた漫画の新刊を読む。その漫画は、一典の好きだったアニメを、漫画化したものだった。


(……絵は良い…………しかし)


 漫画の尺なのか、大人の都合なのか、一典の好きなシーンが飛ばされている。


(何故あのシーンを飛ばした!? い、いや、もしかしたら、後で補完されるのかもしれん……)


 そういう漫画は何度か読んだことがあった。しかし、その漫画は、良い所で終わっていた。


(……くそ、この後、またいい見せ場があるのによ)


 そのアニメは好きで何度か見ていた。だから、ある程度、その場面、場面でも、見て分かる。


(次は…………くそ……まだ、いつ出るのかわからんのか)


 スマホで調べるが、その情報は出ていない。それから、その漫画の先を見たくてしょうがない一典は、そのアニメを見る事にした。一典は、そういう事に小遣いを注ぎ込む。だから、ちゃんとそのアニメの円盤も持っている。

 そうして、そのアニメを見始める。


(そう、ここだよ! ここ! なんで飛ばしたんだよ! ふざけやがって!)


 そのアニメは――――いや、そろそろこの一典を飛ばしてしまおう。


 アニメを見ていた、一典。しかし、次の瞬間周りがブラックアウトする。三度目。一典もすぐに気がつく。


(ちょ! 待てよ! 今からあのシーン! なんで今こうなる!?)


 真っ暗な闇の中。一典にとっては、三度目の経験。しかし、痛い事しかなかった、経験。


(……く、……今度は……何処へ行くんだ……?)


 そんな一典が考えた事。


(今度は……せめて、もうちょっとマシなファンタジーにしてくれよ。……せめて、もうちょっと本来の自分にしてくれよ!)


 三度目の経験の為、一典は、もうそろそろか、と考える。そして、そこに落ちる。


 -ドスン-


(いてえ! …………む?)


 周りを確認する。見た事のない、風景。いや、室内。そうして少し見渡して気がつく。


(こ、これは……ここは……そうだ! ここは! あそこだ!)


 それは、先ほど見ていた、アニメの舞台。いや、その基地。そして一典は考える。


(こ、これは、ようやく……ここが本来の俺の場所だったのか! い、いや、待て! ここまでの経験だと……ま、また…………どうでもいいモブだったりするのか!?)


 そんな事を考えていた一典に遠くから声がかかる。


「タルカネー! ああ、居た!」


(む…………あ、あれは、分かるぞ、俺にも! あれは、確か――)


「タルカネ、ここに居たのか」


 それは自分と同じ年齢くらいか。高校生くらいの青年。髪が茶髪、少し、そばかすがある。


「もう、そろそろ……準備の時間だ」

「…………む?」

「これで……ようやく……俺たちの戦いも終わるのかもしれないな……」


 一典はすぐに気がつく。


(お前は……そう、主要キャラ。……確か……サントス……だったな)


「タルカネ……お前、いいのか? メイミーの事…………」


(む! それは! ヒロインの事だ! と、いう事は――――)


「タルカネ……最後には……やっぱりお前に頼っちまうんだな……」

「…………サントス……」


 少し分かりかけていた。このサントスなる人物。この物語でも、主要キャラ。準主役くらいの扱いのキャラ。で、メイミーは、ヒロイン。主人公と、色々あったが、最後には結ばれるヒロイン。


「……あ、メイミーが来るな。お邪魔虫は消えるよ。……じゃあな、タルカネ! 頼んだぜ!」


 そうして、一典はようやく自分のポジションが分かってくる。


(……そう! これ! これだよ! 俺……やはり主人公キャラなのだ! で、メイミーたんは……っと)


 そこに、とても可愛らしい女性が来る。


「イッテン……ここに……居たんだね」


(こ! これだあああああ! この子が! ヒロインの! メイミーたん!!)


 自分より、少し年下か。いや、設定でもそうだったはず。そして、主人公は、この娘と――


(ウッヒャーーー! これだって! これこれ! これこそ、俺の本来の役回りだって!)


 そうして、メイミーが話し続ける。


「イッテン……これから、始まっちゃうんだね……最後の戦いが」


(……………………は?)


「あれを……倒せたら…………ううん。ね、今度、また、行きたいね……二人っきりで」


 多少気になる言葉があったが、ともかく、この状況は美味しい状況だ。今ここは、もう既に、このヒロインと、主人公のわだかまりも無くなり、恋愛へと発展している状況。


(…………で……あれ? ……そんじゃ…………あの。美味しいシーン。あそこ。あれ、終わった後、まじか!? 嘘だろ!?)


 大人の事情で無くなったシーン。既に終わっていた。


「い、いや、なあ、ま、まだ時間は……」


 そのシーンに戻したいらしい一典。だが話は先に進む物です。


「……うん……そうだね……これが……終わったら……」


 そう言われ、そして、メイミーに抱きつかれる。


「…………うお」

「…………イッテン……う……」


 メイミーは泣いているのか。その状況でも、こんな事は人生で初めての一典。ドギマギしている。


「……また……これが……終わったら」

「…………う、うむ! もちろん! ……だ!」


(これは……この状況は……すばらしい……これこそ……本来の……俺)


 柔らかなそのメイミーの抱擁。一典も、ここぞとばかりに腕を回そうとした。が、メイミーはすぐに離れる。


(っておい! これからだろうが!)


「…………じゃあ……行こ……もう、みんな待ってるよ」

「ぬ……む」


 歯軋りするが、これも主人公の宿命か。仕方が無いと考える、一典。


(で、これから何するんだったか……?)


 と一典も考える。アニメの内容を思い出す。


(……あ……れ? この状態って事は……で……あれ? ……これから…………ん? もしや……これから…………待て。…………最後の…………戦い?)


 その隙を見計らっていたのか、どうやら、指揮官らしき人が来る。


「二人とも……発進だ……」


 それを見て一典は思う。


(……あ、この人、こいつ、ここで死ぬやつだわ)


 で、気が付く。


(まて…………このアニメ…………最後……主人公も……消えてなかったか?)


 ロボット物。そういうアニメ未来の話。で、主人公、チートな機体で、チートな能力発揮して、劣勢だった味方部隊を、最終的に勝利へと導く、のだが。主人公、最後に――――


「……行こう! イッテン!」


 とメイミーに腕を引かれる。


「……え! ちょ! ま!」


 そのまま引かれていく。戻りたいが、勝手に進んで行ってしまう。で、その着いた先。チートな主人公機。他にもモブの機体。ヒロインは、機体には乗らない。


 そこには、先ほどのサントスも居た。サントスの機体は、なんで今までそれで生き残ったというくらいの普通の機体。


「行こう! タルカネ! 俺たちの、勝利の為に!」

「いや! 俺! そんな! 行きたく! ま!」


 何故かその機体に吸い込まれてしまう、一典。


(そういや、そういう設定だった!)


 着いた先はコックピット。しかし、一典は、操作の仕方など全く分からない。はずなのだが。

 勝手に腕が、足が、手が、操作し始める。勝手に機体を立ち上げている。


(なんで! こういう時だけ! そういう勝手に! 動かせるんだよ!?)


 そして、機体にモニターが写る。メイミーだった。


『……サントス…………イッテン…………必ず、戻って来て!』


 そして、一旦それが消えたかと思いきや、もう一度点く。


『……イッテン……また……一緒に行こうね』


 そして、プツンとそれが消えて、今度は音声が流れる。


『サントス機、イッテン機、発進準備よろし!』

『発進準備確認。発進!』


 そのまま、恐ろしいスピードで、機体が外へ投げ出される。


(お、お前ら! メイミー残して全部! 死ぬだろーがぁぁぁぁああああああ!)


 そうは思うが、勝手に敵の所に着いてしまうサントス機とイッテン機。雑魚は、どうやら、見方のモブが倒している。で、結局、一典は、その最終のボス敵と対峙する。

 そして通信が聞こえる。


『ふっふっふ……サントス……そしてイッテン! とうとうここまで来たか……お前らは、俺の野望のゴミ! そして、お前らを倒したなら……俺がこの世界の人類を浄化する!』


(ああ、そんな台詞言っていやがった……そんな事はどうでもいい……ていうかよ、お前、結局死ぬだろ? 主人公道連れにして。……で……サントス……確か――)


『ふざけやがって! これでも、食らいやがれーーー!』


 とサントスさん。ビームなのか何なのか。粒子学を無視した攻撃を敵に行う。


 -バッシューン!-


 しかし、敵は大きな機体。超ハイパーなビームで、サントスの攻撃をはじき返し、さらにサントス機は蒸発する。


 -ボシューーーーン!-


『ふっふっふ……哀れ、サントス! この機体の力を見誤りおって……』


 確かに哀れ。これでサントスの出番は終わり。盾にすらなっていない。そして通信が聞こえる。


『サントスーーーーーー!』

『……サントス機、消滅……!』

『ああ……さ、サントスさーーーーん!』


(多分これは味方の声だ……で、これから……え……俺? 俺が……こいつと戦うのか!?)


『ふっふっふ……では……次にお前か! イッテン!』


(ちょ、まて! なんで! 名前! それのまま! なんだよ! 主人公の! 名前! 違うだろうがっ!)


 そう考えていると、恐ろしい数のビームが、一典の乗ったチートな機体に降りかかる。だが、何故かそれを綺麗にかわすイッテン機。おまけに何故か攻撃している。

 一典は何もやろうとしていない。だが、勝手に体が動いて、その機体を軽やかに動かす。


(か、勝手に……人の……体……動かしやがって……ふざけんな!)


『くぅ! さすがイッテン! お前は! 我が最大のゴミだ! 浄化されてしまえっ!!』


 と、その敵から、もうこれ、色々設定無視しているだろう、と突っ込みたくなる、恐ろしいビームが放たれる。が、それもぎりぎりでかわすイッテン機。

 しかし、そのビームの先。そこは先ほどの基地。

 そこで考える一典。


(……あ、これであそこのやつら、メイミー以外、全部死んだ)


 基地は、ほとんど跡形も無いくらいに吹き飛ぶ。


(……あれで……なんで生きてる? メイミーたん。……いや……構わんが)


『ちぃ! これも避けるとはっ! イッテン! キサマはっ!』


 一典は、全然別の事を考えている。しかし、勝手に体が動く。動かします。でなんやかんやで、その敵を倒す直前まで行く。

 だが、その敵が最後に言う。


『くううう! こんな! ところで! 俺は! 終わらん! 死ねええ! イッテン!』


(あ、これ、最後のこいつの台詞やん。……て、待て。じゃあ……確か……主人公ってこれに巻き込まれて――)


 そして、最後に通信が聞こえる。生き残った、メイミー。彼女からの通信。


『イッテーーーン! だめええええええええええ!』 


 いや、何が駄目なのか。一典は、分かっている。

 なんかこのチート機体。さらに最後の奥の手みたいなチート機能がある。で、それを使えば、敵も倒せるし、その爆発みたいなのも抑えられるが、その代償に、主人公も、その機体に力を全て吸われて、消える。


 一典は、そんな事やりたくない。というか、やる気はさらさら無い。が勝手にそれを起動してしまう。起動させます。


『ぬおおおおおおお! イッテーーーン! ば、馬鹿なああああああ!』

『いやああああああああ! イッテーーーーーーン!』

(俺も駄目ーーーーーー! い、いやだーーーーーーーーーーーーー!)


 -ドッカーーーーーーン-


 まあ、この作品の最後の見せ場。一典は華々しく散ってくれました。


(いってえええええええ! いてえよおおおおお! そんな設定あったのかよおおおおおおお! これまじ痛いって!ふざけんなああああああああああああああああああ!)


 消えながら、一典はそう考えた。


☆☆☆☆


「いてええええええええええええ!」


 気が付けば、部屋の中。アニメはエンディングが流れている。先ほど体験した、アニメ。


 すばらしいBGMで、エンディング。しかし、そこには、消えてしまった、主人公を、

延々と待つエイミー。なんやかんやで、世界にひと時の平和が訪れたとかなんとかナレーション。


 そして一典は考える。



(どうせ……やるんなら……最初からに……してくれ…………いてえよ…………まじ痛い…………)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ