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名探偵・藤崎誠シリーズ

A県警の奥の手

作者: さきら天悟
掲載日:2016/02/22

名探偵藤崎誠登場なので推理にしました。

A県警、県警本部長の高柳は苛立っていた。


「今年もか・・・」


交通死亡事故がベス、いや全国ワースト1。

もう数、1位が続いている。


「しょうがないだろ・・・」


彼は吐き捨てた。

A県は世界1、2を争うT自動車のおひざ元、

それにN市以外は田舎だった。

だからどの地域も一人車一台が当たり前だった。

それに加えて道路が整備されている。

A県にはT自動車グループ、関連会社が数百、いや数千あるだろう。

行政は、それらの会社をつなぐ道路をせっせと整備するのだ。


「こっちもか・・・」


それは監査部の報告書だった。

上司の行き過ぎた指導、いわゆるパワハラだった。


彼は頭を抱えた。

その責任の一端は彼にもあったからだった。


「ワースト1からの脱却」


高柳は県警幹部ら集め、厳しく通達した。


「悲しい事故被害者遺族をこれ以上増やさないでください。

それだけではありません。

加害者も悲惨な人生を送る羽目になってしまいます。

交通事故を減らすよう、みなさん努力してください」


警察幹部らはこれを神妙に受け止めた。

人望がある本部長を男にしよう、と皆言い合った。

しかし、それがもとで行き過ぎた指導になってしまったのだった。

自分も幹部らも、いや県警すべても警察官が苛立っていた。


高柳は同僚だったある男を思い出した。

やり手の男で、今は政治家になっている。

彼はおもむろに電話を取った。





年がくれた。

やはりA県の交通事故ワースト1は不動の位置だった。

年が明けた。

A県が、何とか特区なったというニュースが流れた。

しかし、他県の人には興味がなく、詳しくは取り上げられなかった。





止められた車から男が降りて来る。

白バイ隊員は男に紙を差し出す。


「これを確認して、サインして」


男は覚悟したかのように頭を垂れ、サインした。


「お前は人間のクズだ」


「スマホで何を話した?」


「どうせブスな女だろう」


「人を轢いたらどうする?」


「この人殺しが」


白バイ隊員の罵詈雑言を含んだ説教が30分続いたのだった。





県警本部長室に交通安全課長が入って来た。


「本部長、成功です」


高柳はニヤリとする。


「上期の結果、ワースト25位です」


高柳は頷く。


「パワハラもなくなりました」


そう報告すると交通安全課長は部屋を出て行った。

高柳は考え深げに天井を見つめる。

そして、電話を取った。


「太田、お前が紹介してくれたあいつ凄いな」




「そう、探偵の藤崎」




「ああそうか、名探偵と言わないと怒るな」




「分かったよ。借りが一つな」




「ああ、協力するよ。お前なら総理大臣になれる」


高柳は電話を置いた。

与党政治家の太田の働きで、今年から愛知県は交通特区になったのだった。

それは運転中のケイタイ操作、シートベルト着装違反、10km未満のスピード違反に対して

罰金や減点の代りに、同意書にサインして30分説教を受けると言うものだった。

人格的に誹謗されても訴えない、という。

これを体験したドライバーは心底嫌がった。

そして真面目に運転するようになった。

またこの噂がSNSで拡散し、交通違反が激減したのだった。


そして、もう一つ効果があった。

名探偵藤崎誠はこれも計算に入れていたんだ、と高柳は感心した。

警察官のストレスが減り、パワハラがなくなったのだった。

それもそうだろう。

違反者にそれだけ説教すれば、ストレスもなくなるに違いなかった。

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