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9 お祝いムービー

 マジックペンを使い、多彩な色で画用紙を鮮やかに塗っていく。


「『HAPPY WEDDING』……これなんすか?」


「従兄弟が結婚するからお祝いメッセージを書いてくれって頼まれた」


 スケッチブックリレーってやつだ。結婚式の定番らしいよ。それに俺も参加してくれと頼まれた次第。


「結婚すか~。いいっすねぇ」


「五月女も将来は結婚したいのか?」


「そりゃ女の子ですから結婚願望は凄まじいっす」


「凄まじいって強調の仕方はどうなの?」


 ふと思ったので聞いてみよう。


「結婚の条件とかある?」


「うーん、まず年収は五千万以上っすね」


「典型的な馬鹿女か」


「年齢は二十代でー、高身長で家事をしてくれて趣味も合う人が良いっす」


「典型的な馬鹿女か!」


 ネットやテレビでよく見る理想高い女の意見そのものじゃないか。そんな女に限って顔は良くないってところまでがテンプレ。


「今のが最低条件っすね。じゃないと無理、あぁもう寒気がするっす」


「そんなこと言ってると婚期逃すぞ」


 つーか二十代で年収五千万とか本当に一握りしかいないぞ。はろーはろーゆーちゅーぶかな?


「いやー大丈夫っすよ」


「何その根拠。アラフォーになって焦っても遅いぞ」


「いざという時は三日尻君がもらってくれるから平気っす~、キャピ♪」


 五月女は目元に指を添えてウインクしてきた。あざとい、キャピと自分で言うとかあざとい。


「俺は滑り止めか。自分の学力よりワンランク低い私立高校か」


「分かりにくい例えっすね。えー、よくいるじゃないすか。俺達、三十歳になっても恋人いなかったら結婚しようぜと約束する人」


「そんなこと言って大抵は他の人と結婚するし、約束忘れる方が多い」


「三日尻君は忘れないでくださいっす」


「テメーの方こそな。あ、ムービーも撮ってほしいと頼まれたから手伝ってくれ」


「了解っす。自分も映って良いすかー?」


「家族や親戚から冷やかされるので勘弁してください」


 でも結局は五月女と並んで撮影した。あー、式の時に絶対茶化されるわ……。


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