88 もうすぐクリスマス
「玉木よ、どうする」
「どうするって諦めたらそこで終わりだよ」
「でも俺らに何が出来ようか……」
深刻な面持ちの垂水と玉木。表情は暗く、目が死んでいる。
「お前らどしたん?」
「三日尻、貴様はアホだな」
「ミカジ、オマエ、アホ」
「熾獄夜叉烈斬」
「ぎにゅ!?」
安土さんが置いていったふわふわキュートスターで玉木の顔面を吹き飛ばす。
「顔に容赦なくフルスイングて……頭イカれてるのか?」
「トランプタワーよりはマシだろ」
「?」
垂水は意味が分からんと首をかしげる。
「で、お前らは何を落ち込んでいるんだ」
「焦っていない三日尻にビックリだぜ。……カレンダー見ろ」
壁にかけたカレンダーを確認。今日は十二月十日だ。
「おう。で?」
「クリスマスまで残り二週間だろうがぁ!」
「そうだそうだっ」
垂水が吠えて玉木が起き上がる。こいつらが何を言いたいのか分かってきた。クリスマスの予定がないから焦っているんだな。
「あと半月って……おかしいだろ、どうしろと言うんだ」
「女子と出会って知り合って連絡先交換して好感度を上げて付き合って……そんなの間に合わないよっ!」
「二週間でなくともお前らは間に合ってねーよ」
「「なんだと?」」
「俺の部屋に入り浸りで何を言っ、ておい何してる」
立ち上がった二人。玉木はフライパンを持って垂水はハンガーを二つ構える。
「鋼鉄の重剣、ブラックビックバン」
「全てを切り裂くナイフ、コード37564『殺戮者』」
「そういうことしているからモテないんだよ」
「「死ねぇ!」」
ふわふわキュートスターを握りしめ、俺は襲いかかるアホ二人に立ち向かう。そんなクリスマス二週間前のこと。




