61 ボランティア
俺の部屋の掃除をする垂水と玉木。掃除機をかけて窓ガラスを拭いている。これは現実か?
「お、お前らどうしたんだよ。頭打ったか?」
「失礼な。俺らは日頃の感謝を込めて掃除しているんだ」
「そうだそうだ。ミカジの汚い部屋を片付けてあげようと思ってね」
いつも空き缶やゴミを放置して帰る奴らが何を言っている。やけに熱心に掃除をする二人を見て、これは何かあると勘づく。
「何が目的だ」
「おいおい三日尻、裏があると思ってるのか? 俺と玉木を見くびらないでほしいね」
「就活に向けてボランティア活動しようと考えたんだー」
「玉木!? 言っちゃうの!?」
素直に話す玉木に焦る垂水。なるほど動機は理解した。理解したが、お前ら二人揃ってアホか。
「友達の部屋を掃除しただけでボランティア活動とは言えねーよ」
「え? でもボランティアって清掃活動のことだよな?」
「垂水君、君はボランティアサークルに謝ってきなさい」
確かに清掃活動もボランティアの一つだろう。でもそれだけじゃない、他にも色々とあるんだよ。
そしてまず第一に、お前らは俺の部屋をちょっと掃除しただけで就活の面接でボランティア活動をしたと言うつもりなん? そんなの通用するわけないだろバァカ。
「お前ら甘いんだよ」
「なんだと! 人がせっかく掃除してやってるのにその態度はなんだ!」
「おい垂水そっちこそなんだ態度は。ボランティア活動中の奴の発言じゃねーよ」
「ミカジ、グラビアの切り抜きがあったよ」
「それは元の位置に置いておきなさい。ちゃんとベッドの下のダンボールの中のⅡB青チャートに挟んでおけよつーか玉木よく見つけたなお前死ねよ」
「わぁ、今日のミカジはキレキレだねっ」
そうだね、お前らにキレたいよ。
話を戻すがお前ら二人はボランティアを舐めている。部屋の片付け程度でボランティアしたとは呼べない。呼んでたまるか。
「ええい黙れ。とにかく俺らはボランティアをやっているんだよ。ありがたく思え!」
「そうだそうだ。あ、今度はメイド喫茶でメイドさんとツーショット写真が出てきたよ」
「いやだからなんで見つけるの上手いんだよ死ねよそれは古典単語帳に隠しておけ!」
五月女にバレたら怒られそうなんだよなー。なぜあいつが怒るか意味分からんし。
「あー、うん、分かった。じゃあ好きなだけ掃除しろよ……」
「やっと堪忍したか。俺達に任せろよ~!」
「よーし僕も頑張るぞ~!」
待て玉木。お前はベッド下から離れろ。




