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5 レポート用紙

「宅飲みするっす!」


 冷蔵庫から酎ハイを取り出した五月女は声高らかに飲み会開催を告げる。人の家の冷蔵庫を勝手に漁りやがって。


「ちょっと待て。レポート終わったらな」


 酎ハイを掲げているところ悪いが俺は今レポート中なんだ。

 レポート、大学生が避けては通れない関門である。レポートって単語でツイート検索したら全国の大学生の『マジやべーわレポート終わらん(笑)』といったつぶやきが大量に出てくるだろう。マジやべーわ。


「そんなのパパッと終わらせるっす。ほらハリー、ハリーアップっす!」


「肩を揺らすな文字が歪むだろ」


 今回のレポートは手書きで提出しなくてはならない。手書きは面倒くさいんだよなぁ。


「むー、早くしてよっす。自分もう待てないっす飲むっすカンパーイっす!」


「自分勝手か」


 勝手に始めやがったよこいつ。五月女は酎ハイの蓋を開けると一気に飲み始めて、そして噴き出した。いやいや何してんの!?


「うっ、む、咽せたっす……」


「馬鹿なの? 一気飲みは危ないってウェイウェイ講座で習わなかったのか」


 ちなみにウェイウェイ講座とは、大学構内や居酒屋で調子乗って騒ぐ大学生の醜態を見て「ああはなりたくない」と反面教師にすることである。

 一年生のみんなは必ず履修しようね。ウェイウェイな光景を見るだけだからテストやレポートはないぞ。


「っと、そうだったレポートを書か、な……」


 あれ、レポート用紙が濡れているぞ。あれれ、なんか文字が滲んで読めなくなっているぞ。


「げほっ、むほっ、っす」


 あれれー、ラムネ酎ハイの甘い匂いがする、ぞおおおおぉぉ!


「貴様ぁ! 俺のレポートになんてことぉ!」


「お、おぉ、こんなテンション上がってる三日尻君を見るのは初めてっす」


 テンション上がってねーよ逆だよ下がってるわっ。

 五月女が噴いた酎ハイがレポート用紙に飛び散って……あ、あぁ、俺の二時間が……明日の朝に提出なのに……。


「うっ、ぐぅ……」


「み、三日尻君? ごめんっす。じ、自分も手伝うから……」


「……ってこい」


「え?」


 もうキレた。キレて、折れた。心が折れた。こうなってはやることは一つしかない。


「酒を持ってこい! 飲むぞ五月女ぇ!」


「……えへへ、おーっす!」


 レポートは明日の自分に託し、俺は五月女と高らかに乾杯した。


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