46 タコパ
「タコパするっす~」
「おー」
てことで材料は粉、卵、天かす、紅生姜、ウインナーやチーズ。
「あれ、タコがないっすよ」
「売ってなかった」
「やめっす。たこ焼き終了っす」
テンションが下がった五月女はベッドに転がり込んでしまった。
「ま、待てって。なかったものは仕方ないだろ」
「タコのないたこ焼きなんて所望してないっす」
「せっかく買ってきたんだから、な? ほらウインナーやチーズ入れたら美味しいぞ~」
「今日はいつメンでタコパってツイートしたかったのに残念っす」
お前は典型的な女子大生か。今日はいつメンで~、とか書きたかったのかよ。
「なぁやろうぜ。生地も作ったから」
「ツーンっす」
しかし五月女は動く気配がない。ベッドの上でふてくされている。お、お前がタコパしたいと言うから買ってきたのに……なんて奴だっ。
「じゃあ俺が一人で食べるからな」
「ツーンっす」
そのツーンっすは何。ツンツンしてる私アピール? これ以上言ってもキリないので俺は一人たこ焼きを作り始める。
「……」
「……」
「美味い」
たこ焼きは焼くのが楽しいよね。自由に具を決められるのもプラスポイント。ウインナーはジューシーで食べ応えあるしチーズはトロトロで美味しい。
「意外とわさびが合うんだよな」
「……」
「はふはふ」
「……」
「第二弾いくか」
「……食べるの速くないすか?」
生地を入れていると五月女の小さな声。寝そべった状態でこちらをチラチラと見ている。
「腹減ってるからなー」
「ふーん……あ、ツーンっす」
「それもういいから」
五月女がチラチラ見てくるが気にしない。俺は具材を入れていく。
「あ、そういや冷蔵庫に明太子とちくわがあったはず。入れてみるか」
「……」
「てっててー」
「楽しそうっすね」
「おう楽しい」
「……」
そろそろオッケーかな。ソースとマヨネーズかけて、鰹節もパパッと振って~、これは絶対に美味いはず。
「くー……うおっ」
明太子、これハマりそう。ちくわも美味しい。パンチ弱いかと思ったがちくわの良さを出しつつソースとマッチしている。
「うまっ」
「……あ、あれっすよ?」
「ん?」
「三日尻君がどうしてもと言うなら、タコパやってあげてもいいっすよ」
「嫌なら無理しなくていい。一人で全部食べれそうだし」
「ど、どうしてもと言うなら……」
「言わねーから。そうだ、明太子とチーズ一緒に入れてみるかっ」
「……」
俺はね、他人にはある程度の優しさしか向けないのさ。何度も誘ったんだ、それで嫌と言われたら諦める。諦めの良い男、三日尻です。だからリア充になれない。もっと肉食系よろしくガツガツいかないと。オッケーたこ焼きガツガツ食うわ!
「生地はこれでラストか。外をカリカリにしたいねぇ」
「……」
「明太子チーズ、こっちはちくわを入れて、ウインナーも全部使っちゃうか」
「……」
「ネギもアリだな」
「……」
「うし、食べるか」
「そ、そのっ」
食べようとしたら五月女が目の前にやってきた。少し涙目で口をゴニョゴニョさせている。
「や、やっぱり食べたいっす」
「ふーん」
「じ、自分もタコパ参加していいっすか……?」
「ツーン」
「うぅ……」
俺はお皿にたこ焼きを乗せて、五月女に渡す。
「あ……」
「結構良い感じにできた。食べてみろよ」
「……うんっ」
涙を拭って五月女はたこ焼きを頬張る。ふーんでもツーンでもなく、う~ん!と嬉しそうに頬を緩ませながら。
「次は一緒に焼こうな。タコ買ってくるからさ」
「うんっ。三日尻君、ありがとうっ。っす」
タコはなかったけど、今日はいつメンでタコパをしました。




