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45 学園祭2

 学園祭が終わった翌日、授業は普通に行われた。高校の時は日曜に文化祭があったら翌日は休みになったけど大学は違う。打ち上げで騒いだウェイウェイ達はさぞ辛いことだろう。


 今日の授業を終えて講義の復習をする俺の傍らには安土さん。ラジオ代わりに軽快なトークを披露してくれている。


「昨日の激辛タコ焼き早食い大会で優勝したスイーツパラサイト深見さんとは同じ学科なんですよ~」


「スイーツパラサイトなのに辛いの食べたのかよ」


「生きる為に食べる。そんなことを許してくれる全ての食べ物は私を甘やかしてくれるってことからスイーツパラサイトです」


 割とそれっぽい理由があったんだね。だとしたら蹂躙するバーバリアン内山には一体どんな意味があるんだ。あと食に感謝しているなら早食い大会に参加するんじゃねぇ。

 このように、いちいち声に出したらキリがないので心の中でツッコミを入れる。


「私も参加したけど一つ目でギブでした。辛かったっ」


 激辛シュークリームの味を思い出したのか、安土さんは舌をベーッと出して目を固く閉じる。発言は狂っているが美人。辛そうな表情にすら華があって微笑ましい。さすが去年のミスコンテスト優勝者だ。あ、そういえば今年のミスコンに安土さんの姿はなかった。気になったので尋ねてみるか。


「安土さん今年はミスコン出なかったね。どうして?」


「それでムカ着火キャンプファイア平本君がデートに誘ってきて断るのに大変でした」


 会話をしません? 今明らかに俺が質問し終えてから喋りだしたよね。キャッチボールで例えると、俺が投げた球を避けてラグビーボール投げてきた、そんな感じ。


「すごくしつこくてムカッとしました」


「あぁ、平本君のあだ名の由来は分かった」


「三日尻君のせいですよっ」


「なんでだよ!」


 俺関係ないだろ。俺の知り合いにムカ着火キャンプファイア平本いないから。連絡先にムカ着火キャンプファイア平本とか登録されてないから。つーかムカ着火キャンプファイアって語呂が良いな!


「それで私がミスコンに出場しなかった理由ですか?」


 話聞いていたんかいっ。だったらなぜラグビーボール投げてきたんだ。


「……聞きたいです?」


「まぁ、もし良ければ」


 安土さんは神妙な面持ちで俺を見つめる。いつもの上品な笑みはなく、どこか深刻そうな眼差しに俺はたじろぐ。何か人には言えない事情があるのか……。


「漫才コンテストで前回優勝者が出場することありますよね?」


「お、おう。確かにある」


「今年も優勝して大会二連覇してやるー!って感じが出るから嫌でした」


「……終わり?」


「おしまい」


 そしてケロっといつもの微笑みに戻る安土さん。聞き終えた俺、変な気持ち。分かるようなそうでないような。深刻な顔した割に理由は別に……うん……?


「えーと? 安土さんが出場したら周りから『あぁあの子今年も自分が優勝できると思っているんだ』と思われて、それでもし負けたら『あの子自信満々だったけど負けちゃったね』と恥ずかしい思いするし前回優勝の栄光が霞んでしまうから?」


「しつこいムカ着火キャンプファイア平本をスイーツパラサイト深見さんが食いちぎったのは見事でした」


「これだけ長々と喋ったから無視はやめてくれません!?」


 結局、安土さんが出場しなかった明確な理由は分からずじまい。もっと言えばこの子がなぜ俺の部屋に来るのかも未だに分かっていない。何かと謎の残る美少女だ。スイーツパラサイト深見さんの謎も深まるばかりだし……。

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