44 学園祭
「今日は学祭っすね!」
「そーだな」
「それなのにどうして部屋でグータラしているんすかっ」
「それはね、俺だから」
「理由になってないっす」
今日は大学の学園祭だ。学生はもちろん、一般の人もたくさんやって来て文字通りお祭り騒ぎとなっていることだろう。
「去年行ったから今年はいい」
「二年生でその冷め方は嘆かわしいっすよ。ゲストだって豪華なんっすよ?」
確か俺らが行ったフェスに来ていたアーティストだっけ? 五月女がキャーキャー言ってタオル振り回していたのを思い出す。
「自分の友達は朝六時から整理券の配布に並んだんっすよ。物販だってあるし、今からでも間に合うから行こうっす~」
「めんどい。ギリギリに行っても観れるだろ」
「前の方で観たいんすっ」
五月女は目を輝かせて声を荒げる。対して俺はクッションに頭沈ませて漫画をペラペラ。
「それに出店も見て回りたいっす。から揚げや焼き鳥食べたいっす」
「安い原価でぼったくるサークルの模擬店だぞ。コンビニで買った方が安くて美味い」
「ビンゴ大会だってあるっす」
「どうせ当たらねーよ。仮に当たっても馬の被り物やモアイ像のティッシュ箱とかだ。実行委員のクソ寒いセンスで選ばれた品に興味はない」
「……スタンプラリーは参加するだけで賞品もらえるっす」
「いつも通っているキャンパスの中を歩き回ってスタンプを押せと? くだらねぇイベントだ」
「もうっ! 三日尻君は冷めすぎっす!」
五月女は怒る。俺の体をポカポカと叩いてくる程に。いやだってめんどくせーもん。
「ゲストのステージが始まったら教えて。そしたら行く、かもしれない」
「かもしれないんすか!」
「行けたら行く」
「それは行かない人の常套句っす」
たぶん行くよ、たぶんね。あのアーティストは俺も好きだし、せっかくなら観たい。だから行……あー、やっぱめんどいな。家でゴロゴロしたい。
「俺はいいからお前勝手に行ってこいよ。ふぁ~、眠い」
「そういえばミスコンあるっす。可愛い子いっぱい出るらしいっす」
「行くぞ五月女さっさと準備しろ」
「……」
そうだったミスコンがあった。あれは見る価値がある。安土さんは出場するのかな。ワクワク。
「おい急ぐぞ。あ? 何突っ立ってやがる」
五月女は俺を見て、顔をしかめていた。なんだその人をゴミのように見る目は。
「三日尻君は本当サイテーっす」
「安心しろ、自覚している」
「なんで自信満々なんすか」
「それはね、俺だから」
「だから理由になってねーよ、っす」




