4 料理
午後八時頃、腹が減ってきた。
「なんか飯作ってくれない?」
「ふっふー、自分に任せるっす」
五月女は快く了承してくれた。加えてドヤ顔気味である。まぁこいつも女の子だから料理とか得意なのだろう。
「三日尻君、オリーブオイルはどこっすか?」
「んな洒落た品はない」
「え~、じゃあチャービルかアボカドかロメインレタスはあるっす?」
「あるわけないだろ。どうしたお前、もこさんキッチン意識しすぎだから」
大学生の冷蔵庫にマニアックな野菜がストックされているわけがない。あったらそれは意識高い系すら超えた、意識高いたかーい系だ。ルフィが一度だけ使ったゴムゴムゴムゴムのバズーカ的な?
「これじゃあ、ろくなものは作れないっすよ~」
腰に手をあててため息をこぼす五月女。台所に立つ姿と、後ろでまとめた髪の毛に思わず目が離せない。
なんかごめんな、俺の準備不足で。今指定した食材があればきっと美味しいものを作ってくれたのだろう。
「仕方ないっす。塩で我慢するっす」
「もこみちの真似したいだけじゃねーかー!」
「あ、美味いっす!」
五月女は油そばをすすって嬉しそうに声を出す。頬を緩ませて食べる姿は微笑ましい。結局俺が作ったんだけどな。
「油そば作れるとか三日尻君はすごいっすね」
「お前もすげーよ。ご飯に高めから塩をかけただけだもん」
麺が一人分しか残ってなかった。五月女は油そばを食べて、俺は五月女の作った塩かけご飯を食べている。
……これは女子の手作り、これは女子の手作り。よし、そう思ったら少しは美味しく感じるぞ。
「お前料理できねーの?」
「失礼な、自分は唐揚げやエビフライだって作れるっす。レンジでチーンで楽勝っす」
それ作ってないから。冷凍食品だから。
「女子なんだから少しは料理スキル磨けよ」
「了解っす。次は三日尻君の分もチーンするっす」
「レンチンする時間長くなるだけじゃねーか!」




