38 スランプ
俺は英単語帳を眺め、安土さんはノートと睨めっこして唸っている。
「授業の復習してるの?」
「今スランプ中です。新しい呪文が思いつかなくて……」
真剣な表情で悩んでいるみたいだが俺からすれば「何言ってんだこいつ」状態である。
「つーか呪文作って何か意味あるの?」
「今は役に立たないかもしれません。でもいつか、世界や人々の為に貢献出来る日がきた時の為に私は頑張ります」
何それカッコイイ。俺の歯磨き粉を丸々一本も消費した奴の発言ではなければもっと感動したよ。
「俺で良ければ手伝おうか?」
「本当ですかっ?」
パァと明るい笑顔で安土さんは俺を見る。無垢な瞳、整った綺麗な顔。ぐっ、やっぱ美人だなこの人。
「じゃあ半裸になって産卵するリクガメの心境を表現してください」
「でもやっぱ頭おかしいよね」
半裸は恥ずかしいので俺は服を着たままその場にうずくまる。
「う、うぅ、ワンパックぐらいと思ったけど結構出てくるわ……」
「思いつきました」
「なんでだよ」
今のどこにインスピレーション刺激する要素あったのか不明だが安土さんは勢いよくノートに文字を書いていく。
「わぁ出来ましたっ。ヒヒーントゥイッターバンチ」
「どんな呪文?」
「一分間だけ口臭がおじいちゃんになる呪文です」
「リクガメ関係ねーし世界平和に繋がらねーよ!」




