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34 ただいま

 鍵を開け、玄関に大量の荷物を置く。実家から持ってきた漫画、無理矢理奪ってきたお米と食料とかだ。小遣いを一円たりもくれなかったからこれくらいはやってもいいだろう。俺は悪くない。俺は悪くねぇ!


 それにしても疲れた。実家が田舎なので新幹線の停まる駅に向かうのも一苦労だ。バス乗り遅れると一時間は待つ必要があるレベル。せめて車で駅まで送ってくれよお父さんお母さん。


「五日ぶりか。なんだか懐かしい」


 とはいえ実家は快適で地元の奴らと会うのは楽しかった。しかしまぁこのアパートでの生活も恋しくなってきた頃。あと玉木と垂水がウザかったので。

 部屋に入るとやけに静まり返っていた。授業を終えて帰ってきた時とは違う、部屋がシーンとなっているのだ。ざっくり一週間人が住んでいなかったからね。


 さて、持ってきた食料の整理でもするか。と思っていた矢先。


「三日尻くーん、っす!」


 突如ドアが開いて五月女が入ってきた。こいつと会うのも一週間ぶり以上。亜麻色のサラサラな髪が少し伸びたように見える。


「久しぶりっすぅ!」


「お、おう五月女か。……え、タイミングすごいなお前」


 俺が帰ってきて数分足らずで五月女は遊びに来た。いつものように当たり前のように。何お前はエスパーなの?


「今日の夕方に戻ってくるって言ってたじゃないすか。いやー、ジャストタイミングで自分ドヤ顔っす」


 五月女は鼻を鳴らして俺に向けてピースサイン。相変わらずの快活っぷりだ。と、五月女は俺の横を通り過ぎて一直線にベッドへと向かう。


「ダーイブ、っす!」


 主の俺より先にベッドダイブするとは図々しい奴め。五月女はベッドの上でゴロゴロ、ゴロゴロ、ゴロゴロ、すっごいゴロゴロしているんだけど!?


「うへへぇ、やっぱこれっすぅ」


 何こいつゴロゴロの実のゴロゴロ人間? うわ全然面白くない。


 五月女が毛布にくるまって芋虫状態になる。顔だけ出して俺の方を見て、モゾモゾと動き、


「三日尻君おかえりなさいっす」


 照れくさそうに、けれど満面の笑みを向けて五月女はそう言ってくれた。


「おう、ただいま」


 地元の奴らと会うのは楽しいし実家は快適だった。しかしまぁやっぱりこの生活が一番心地良いかも。俺はそう思いながら荷物を整理する。

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