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18 いつの間にか仲良くなってる

「え、三回溜めたらバリア貫通のビーム撃てるんじゃないの?」


「俺の地元では三回溜めビームのスペシウム光線はバリア突破不可、一回溜めビームを倒せるだけだったな」」


「スペシウム光線とかウケる~。僕の地域では龍撃砲って呼んでたよ」


「うおぉ玉木んとこの超カッコイイ!」


 俺の部屋はとても賑わっている。玉木と垂水が揃っているからだ。

 今は攻撃、防御、溜めの行動を手拍子のリズムで行って戦うゲームをやっている。小学生の頃、絶大なる人気を博したゲームだ。


「そもそもこれってゲーム名は何?」


「俺はCCレモンと呼んでいた」


「僕らは神々の手話だったなー」


「す、すげぇ!」


 興奮した顔で痺れている垂水、ドヤ顔の玉木。それぞれ見て俺は思う。この二人はいつの間に仲良くなったんだ? 俺が仲立ちをした覚えはない。それなのに玉木と垂水は普通に話して仲良くしている。


「神々の手話はイカすわ~。英語で言ったらハンドサイン・オブ・ゴッド達だろ?」


「おぉ最高にクールだね! 垂水って英語得意なんだっ」


「へへっ、まぁな!」


 仲良くなれたのは二人が共にアホだったのが起因しているに違いない。今も大学生とは思えない会話を繰り広げている。ゴッド達ってなんだよ訳せてねーよ。ヤフーの翻訳か。


「なぁ三日尻はなんで呼んでた?」


「名前はなかった。これやろうと言ってジェスチャーしてた」


「うっわ、しょうもないね~」


「名称なしはダサイわぁ」


 玉木と垂水が俺を見下した目で嘲笑ってきた。なんでだよ名前なくても別にいいじゃん。これやろうぜ!で通じるだろっ。


「ぷぷっ、ミカジの住んでいたところはセンスがバツでやんす~」


「ダサイでやんす~」


「上等だよテメーら。神々の手話で決着つけようぜ」


 俺の地元がダサイと馬鹿にされるのは気に食わない。地元代表として正々堂々勝負だ!

 あと玉木、お前と俺は地元ほぼ一緒だからな。神々の手話とか龍撃砲って聞いたことないぞ。


「オッケー、まずは俺が相手してやる」


「頑張れ垂水っ。正義は勝つ!」


「そりゃあそうだろ。勝者だけが正義だ! どんっ!」


 それ何ドフラミンゴさん? お前は垂水ンゴさんなの?

 ともあれ俺と垂水は対面し、両手を構える。これやるの久しぶりだな。


「せーのっ」


 まずは二回手拍子。最初の選択肢として溜める、バリアの二択だ。ビームは溜めていない状態だから撃てない。それは相手も同じ、つまり初手からバリアを張る意味はない。

 よって最初は溜めるを選ぶのが定石である。ここまでコンマ五秒。


「かめはめ波っ!」


「なんで初手から撃てるんだよ!」


 俺の溜めポーズに向けられた垂水の両手。垂水がいきなりビームを撃ってきたのだ。


「おい垂水それルール違反だろ」


「あぁ? 俺の地域じゃ最初から溜め一回分ある状態でスタートすんだよ」


「ローカルルールは先に言えや。つーか? 技名がスペシウム光線とかめはめ波でゲーム名はCCレモン? 世界観めちゃくちゃだなお前の方がセンスないわ」


「三日尻テメェ、ウチの町を馬鹿にしてんのか……! ウチの町にはなぁ、ダムがあるんだぞ!」


「俺んとこにもダムあるわっ、大きなダムだ! よく花束が添えられているわ!」


「それヤバイ系のダムじゃねーか!」


 そこからは垂水と殴り合い。殴る、蹴る、ぶん殴るのノーガード対決。


「ウチの町はこの前コンビニできたぞ。二十四時間営業だぞ!」


「舐めんな三日尻、俺のところは既に二店舗目が進出したわ。コンビニの向かいにコンビニがあるんだぜ」


「二つしかないコンビニが向き合っているっておかしいだろ! ただの事情展開失敗じゃねーかー!」


「んだと!?」


「やんのか!?」


 殴りながら地元自慢を言い合う。どうやら垂水の地元もかなり田舎らしいが、俺だって田舎出身だ。コンビニが進出してきてオープン一週間前から老人が群がる異様な光景を見たことあるのかオラァ!


「まぁまぁ二人とも落ち着いてよ」


 玉木が俺らの間に入って仲裁してきた。


「下がってろ玉木」


「どうせお前の地元もしょぼいんだろ」


「僕のところはそうだなぁ、最近スタバできたよ」


「「何それ超カッコイイ」」


 地元自慢勝負は玉木の一撃で決着がついた。勝者は玉木、つまり玉木が正義となった瞬間である。どんっ。


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