15 面接
「玉木麦平ですっ。御社の社訓に胸打たれて今も軽く心不全です!」
「胸打たれるってそういうことじゃないから」
スーツを着た玉木と俺は二人向き合っている。今のうちから就活の練習をしたいと玉木がうるさいので付き合うことにした。が、早くも後悔している。
「まぁいいや。それではあなたの志望動機は何でしょうか?」
「はい動悸が激しいですっ」
「その動悸じゃない。志望動機」
「しぼう? あ、はいそうですね子房は被子植物ですね!」
「あなたは面接じゃなくて病院に行った方が良いですね」
こいつはふざけているのか? 本当の面接官だったらキレているぞ。
もうやめたくなったけど玉木が目をキラキラさせて次の質問はまだかと待ち構えている。
「えー、自分の長所を述べてください」
「長所は中指、短所は親指です」
「喧嘩売ってるの?」
「喧嘩を売る、こうですか!?」
そう言って玉木は自分の長所を俺に向けて突き立てる。ファッキュー玉木。国が国なら殺されているぞ。
「お前マジ舐めてるだろ。面接官に中指立てる奴がいるか」
「へへっ。目の前に、いるじゃないですか~」
「ここに探している逸材いますよ的な言い方すんな!」