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最終話 リア充大学生の非ウェイウェイな日常

 四月。学生からすれば新しい年の始まりとなる月だ。

 常にダラダラしている俺も例外ではなく、新三年生となった。前年度以上に学業と遊びを両立させていこうと思います。目指せ優良ゼミ室。


「三日尻君まーたダラダラしているっす」


 決意とは裏腹に、前年度と同じように部屋でのんびり過ごしていたら五月女がやって来た。春らしいカーディガンを羽織って亜麻色の綺麗な髪をなびかせて。


「ノックもなしに入ってくるんじゃねー」


「別にいいじゃないすか。だって、彼女なんだもんっ」


「え、お前俺の彼女だったん?」


「むーっ! うがーっ! おりゃーっす!」


 嘘嘘、冗談だって。だから背中をビシベシと叩いて暴れるのやめてください。

 軽くやってくれているから良いけどたまに会心の一撃的なの入っているからね? 五月女の会心率が高い、付き合ってから分かったことの一つである。


 そう、五月女と付き合って二週間が経った。今までの友達以上恋人未満から、俺らは晴れて恋人同士となったのだ。うんうんリア充だね。テンションがウェーイだね。

 とは言っても俺と五月女は付き合う前から結構仲が良かった。五月女が泊まることはあったし、別に付き合ったからといって何か変わることがあるのかな? なんてことを最初のうちは思ったりしたものだ。


「三日尻君、こっち向いてっす」


「ん、何……おあっぷ!?」


「えへへー」


 振り向いた途端、五月女が飛び込んできた。女子とはいえ人間一人のダイブを急に受け止めることは出来ず俺はベッドへと倒れ込む。胸元には頬をスリスリと寄せてくる五月女のトロンと緩んだ表情。

 あー、なんだ……付き合ってから五月女がデレデレになった。何かあるわけでもなく抱きついてきたり手を握ってきたりする。これについて本人に尋ねたところ、「今まで我慢してきたんだから仕方ないんす!」と怒られた。え、なんで怒られたの俺?


「んー、んー♪」


「まあ五月女が良いなら俺も構わないけどさ」


「えへへぇ、三日尻くーん♪」


「さりげなく服の下に手を入れてくるなっ」


 やっぱ前言撤回します。過度なスキンシップは少し遠慮してもらえますか。俺のメンタルと心臓が持たないから!

 付き合って半月は経つのに密着されたら未だにドキドキしているからね俺。どんだけ純情なの? 三分の三の純情な感情なんだけど。


「私、とても幸せです」


「語尾忘れているぞ」


「別にいいの、だって恋人同士なんだもんーっ」


「快活なのは相変わらずだな……」


「三日尻君大好きっす!」


「今度は『っす』をつけるんかい」


「じゃあ、光一君大好きっ」


「……」


「光一君?」


 ぐああああぁぁぁ心臓がああぁぁ、キュンキュン鳴っているよぉぉ。何、何この子、なんで俺が悶えることをピンポイントで攻めてくるの!? こちとらキュンキュンしすぎて血流乱れまくりだわ!

 と、スリスリに余念がなかった五月女が顔を浮かせて俺を見つめる。距離は十数センチ、五月女の大きな瞳と柔らかい温もりが俺を完全に掴んで離さない。


「三日尻君……あのね……」


「お、おう……」


 あ、これイケる。今から起きることが予想つく。

 まずは二人見つめ合って、そして何も言うことなくそっと唇を重ね、その流れでベッドの上にて愛を確かめ合う……の流れだこれ!


「ゲームしようっす」


「……ゲーム?」


「そうっす。私、新しいゲーム買ってきたっす。早速勝負っす~!」


 五月女はニッコリ満面の笑みでそう言うと起き上がってテレビの前へと移動した。残された俺、なんか恥ずかしい思いで悶える。悶えてばかりだよ俺ぇ!


 ……まぁ、リア充になったと鼻高らかに言っても所詮俺は非ウェイウェイな大学生。そんな上手い話があるわけなかった。

 ……ま、まぁ? 追々そーゆーチャンスは巡ってくると思う。思いたい。でぃーカップ見たい。うわ言っちゃったよ。


「ほら三日尻君早くするっすー!」


「はいはい」


 でも、やっぱ今はこっちの方が良いかな。以前と変わらずこいつと部屋でダラダラ過ごして、何もしないまま一日を終える。それが今の俺にとって最高の幸せで間違いないのだから。

 テレビゲームの電源を入れて床に座る。そうすれば五月女が当然のように俺の胡坐の上に座ってポスンと背中を預けてきた。五月女が「えへへっ」ととろけた笑みで俺を見上げる。


「あ、言い忘れてた。五月女、俺もお前が大好きだ」


「知ってるっつーのっす~」


「その割に顔真っ赤だなおい」


「う、うるしゃいっす」


「噛んだ」


「噛んでないっ」


 さて、今日も部屋にこもって非ウェイウェイな日常を楽しむとしますか。

 悶える五月女を抱きしめながら、ただひたすらに幸せな気持ちでいっぱいだった―――


〈完〉

こんにちは、腹イタリアです。

この度は『大学生の非ウェイウェイな日常』を読んでいただき、ありがとうございます。無事に最終話を迎えることが出来ました。


まず思うのが、ここまで読んでくださった方への感謝が尽きないこれーってことです。だって特に内容があるわけではないコメディー小説なんですよ? 大学生の設定なのに全然学校生活を描いていない、部屋にこもってばかりの物語なんですよ!?


この作品は自己満足と、そして読んでくださる方の暇つぶしになればいいなと思って書きました。

最終話まで目を通してくださった方がどのようなお気持ちかは分かりませんが、とりあえず作者の私は非常に満足しております(笑) あー楽しかった、これに尽きます! 


最終話と言いましたが実は番外編を書いていこうと考えております。これまた自己満足です。自己満が止まらないぜおい!← 

番外編を書いて、この作品は完結となります。ここまで読んでくださった方は最後までお付き合いしてくださると思います! そうだよね? ……だ、だといいなぁ(笑) 



長くなりましたが、最後にもうちょっとだけ。

『大学生の非ウェイウェイな日常』を読んでくれて本当にありがとうございました。感想を書いてくださった方、とても励みになりました!


それでは~

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