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14 玉木麦平
「ハム食べたい! ハム食べたい!」
レポートと格闘している俺の耳に入り込んでくる叫びに思わず舌打ちが出てくる。
「うるせーぞ玉木。黙ってマインスイーパーやってろ」
「うわあぁまた爆発したぁ! ハム食べたい!」
パソコンでゲームをやりながらシャウトするこいつの名前は玉木麦平(たまきむぎひら)。
中肉中背のごく普通な男子大学生。見た目はね。だが中身はアホ。超がつく程のアホだ。
「なぁミカジ、このゲーム超難しいよ」
「さっき攻略方教えただろ。まずは」
「ハム食べたい!」
「オッケー俺もう会話に疲れたわ」
玉木とは高校からの付き合いで今は同じ大学に通っている。昔からこいつと喋ると疲れるんだよな。すんなり会話が進んだためしがない。
「ミカジハム! ミカジハム!」
「分かったよ、なんか作ってやる」
レポートを中断し、俺はキッチンに立つ。
その間も後ろからは玉木の絶叫と爆発音。ボンバーマン並みに爆発している。下手くそか。
「ほらできたぞ」
丁度ハムと卵があったのでハムエッグを作ってみた。
完成した品を玉木の前に置く。これで少しは落ち着いてくれるだろう。
「あー、僕ベーコン食べたい」
「ここに来て唐突なオーダー変更!?」
「ベーコン食べたい! ベーコン食べたい!」
ハムもベーコンも大して変わらねーよー! いいから黙って食えや!




