13 風邪2
「たでーまー」
買い物を終えて帰ってきた。五月女はちゃんとベッドで寝ている。
「み、三日尻くん……」
「起きんな起きんな。寝てろ」
音に反応した五月女が上体を起こすので慌てて押さえつける。
「三日尻君、どうして息が上がっているんす……?」
「あ? お前の風邪が移ったんじゃねーの。最悪だよバカヤロー」
「汗ダラダラっすよ?」
「今日は暑いなおい。松岡日本に帰国するな。冬だけ帰ってこい馬鹿」
休んでいる暇はない。俺はしつこく手洗いをした後に調理を始める。お粥を作るのは久しぶりだ。レシピ確認しておくか。おっけーぐーぐる。
「……走って買ってきたんすか?」
「んなわけねーだろ。お散歩気分で歩いて行ったわ」
「……」
五月女が黙ったので俺は話しかけるのをやめて調理に集中する。
……ふー、全力疾走するのも久しぶりだった。
「自分で起きるな。起こしてやるから」
五月女の上体を支えてゆっくりと起こす。右手は五月女の背中に、左手はお盆を持つ。手がめちゃくちゃプルプルするぅ。
「食欲ないっす」
「ちょっとでいいから」
レンゲ持て、と促せば五月女はちゃんとお粥を食べてくれた。少しずつだが、ゆっくりと口に運んでいく。
「ぁ、美味しいっす」
「そうか」
五月女は全部食べてくれた。風邪薬を飲ませてまたベッドに寝かせる。
「なんか欲しいものあるか」
「……ミルクコーヒー」
ミルクコーヒー? 五月女は俺が今飲んでいるミルクコーヒーをじっと見つめる。
「ポカリ飲めって」
「そのミルクコーヒーが良いっす」
「ん、まぁ良いけど」
五月女の上体を起こしてミルクコーヒーを渡す。五月女は両手で持つと一口飲んで頬をへにゃと緩ませた。
「えへへ、甘いっす」
「そうか」
「元気出るっす」
ミルクコーヒーにそんな効力あったか? よく分からんが五月女が喜んでいるので良しとしよう。
「三日尻君ありがとうっす。あ、あの、今日……その」
「今日はウチに泊まれ。その状態で帰すわけにはいかねーよ」
「ん……ありがとっ」
またミルクコーヒーを飲んで五月女はニコッと微笑む。……大事に至らなくて本当に良かったよ。
まぁその後俺が風邪引いたのは定番だよね。ポカリたくさん買っといて良かったげほげほおえぇ!