111 大雪
「うおぉ雪ヤベェ」
思わず言葉に出てしまう。それ程の光景がベランダの外に広がっていた。
辺りは全て真っ白、今も空から大量の雪が降り続いている。昨日の夜から大寒波で警報出る可能性が高いとは聞いていたがまさかここまで積もるとは。
ん、待てよ。今日は休講なのでは? 大学のホームページを調べると見事に予想的中、休講になっていた。
「やったぁ! ……じゃないんだよなぁ」
休講は喜ばしい。が、時期が悪い。もうすぐテスト期間の今の時期に休講は困るのだ。最悪の場合長期休みが一週間遅れる危険性もある。それは最悪だ。モストオブバッド! 俺ホントに大学生か?
でも実際どうしようもない。自然には逆らえないっす。今は大人しく素直に与えられた休暇を存分に味わうか。
ベッドに潜り込んで二度寝を開始。はいそれではおやすみなさ……ぐかー。
目が覚めた。起きた。そして焦る。ベッドで上体を起こし、俺の視線は一点に向けられる。
テーブルの上に君臨した雪だるまに。
「…………あれ、夢かな?」
あははー、まだ寝ぼけているみたいだ。しっかりしろよ三日尻光一~。目をつぶって大きく深呼吸、再び目を開く。
うん、現実だった。
「何これぇ、心臓止まりかけたわ」
落ち着け、これは現実だと受け入れよう。なぜかは分からないが今部屋には雪だるまがいる。驚いたのはその大きさ、一メートル以上はある。
想像してほしい。起きてテーブルに大きな雪だるまがある光景を。ただの恐怖でしかない。
次に考えることは、今から俺は何をするべきか。……雪だるまにノータッチで過ごすことは無理だ。かといって触る勇気も出ない。なんか、爆発しそう。
となると、俺に残された手段は一つ。
「もう一回寝るか」
ベッドに潜り込む。三度寝。まさかの三度寝だ。いやいやー、もしかしたらまだ寝ぼけている可能性もあるやん? もう一度眠りについて気持ちをリセットしよう。
俺は目を閉じて眠りにつく。……さっきはすぐ寝れたのに今度はなかなか寝れな、ぐかー……。
目が覚めた。起きた。心臓が暴れ馬の如く暴れる。
テーブルの上には雪だるま。それはまだいい。最悪許容する。
問題は、雪だるまの数が増えていること。三体の雪だるまがこちらを見ていた。
「俺、死ぬのかな……」