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108 成人式

 テレビに映るのは成人式に関するニュース。今年も新成人が暴れたらしい。


「ふふっ、俺も結構無茶したぜ」


 ドヤ顔で語る垂水。アピールしているつもりなのか、金色の髪を何度もかき分けている。それに対する俺の返事は、はいはい、である。


「俺って昔は尖っていたからなぁ。あの頃の血が騒いでしまったよ」


「はいはい」


 俺も成人式行ってきたよ。小学校の友達と会えて楽しかった。中にはヤンチャした格好をした奴らもいて、爆音散らして暴れていた。垂水は自分もそんな無茶をやってきましたぜ的な語り口調なのだが、どう考えても嘘である。


「むっ、信じていないな。まぁ無理もない、普段の俺は温厚だからな。でも昔は」


「じゃあ証拠見せろよ。写真」


「へ?」


「写真だよ。撮っただろ?」


 催促を続けると垂水の顔が困った表情に変わっていく。嘘バレるの早くね?


「な、なんでだよ信じてないのか」


「信じてないよ。だから見せろ」


「……あの、あれだ、警察と殴り合っていたから撮る暇がなかったぜ!」


 うわこいつさらに嘘を塗ってきた。今のタイミングで素直に認めれば良いものを……取り返しがつかないぞ。

 俺の予想は的中。垂水は目を泳がせながら言葉を紡ぎ続ける。


「式の最中に仲間と壇上に上がってマイクを奪ってやったんだ。気に食わない奴らは拳で黙らせてやった」


「他には?」


「他? そ、そうだな……あ、盗んだバイクで走ってやったぜ!」


 歌詞のパクリじゃねーか。中学生が自分のブログで詩を書こうとして悩んで好きなアーティストの歌詞を引用するのと同レベルだ。どうした新成人、お前中学生レベルだぞ。


「とにかく! 俺は無茶したんだよ。だから写真を撮る暇はなかった。でも話は信じろ! いいな!」


 自分勝手さならニュースに出てる奴らと張り合っているな。

 あのね、お前が派手な髪色に染めることしか能がないことは知っている。いくら言葉で語られても嘘としか思えない。つーか絶対嘘だし。


「マジでヤバかったわー。同窓会で居場所がなくて早々に店から出てきた陰キャに絡んでやったわー」


「それ自分のことか」


「……マジビビらせてやったわ。陰キャ涙目で逃げてやんの」


 これは本当みたい。実体験かよ。金髪が仇になったんだね……。


「ま、まぁ、平凡な三日尻には刺激が強すぎる話だったな。ビビらなくていいぞ、お前と俺はダチだからな!」


「そういや五月女が成人式で暴れるような強い人は嫌いって言ってたな」


「すみません本当は成人式行ってません。ネカフェで時間潰していました」


「……」


「同窓会は一応参加したけどヤンキーやギャルばっかりで全然喋れなかったし先に帰ろうとお店出たらガラの悪い人達にカツアゲされそうになりました」


「だと思ったよ」


 五月女に嫌われない為に本当のこと話したところ悪いが、それはそれでダサくて嫌われると思うぞ。

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