表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/150

104 年末

「それでは今年も一年間お疲れさんでした。来年も何卒よろしくー、かーらーのかんぱーい!」


「ういー」


 金谷先輩と今年最後の飲み。会場は俺の部屋。


「うめぇ~、黒エビス美味いなおい」


「そうですね」


「ききビールしたらこいつだけは分かる自信あるよ」


「そりゃ色で分かるでしょ」


「じゃあ今日の私の下着の色は分かるか?」


「分かるわけねーでしょ。トリッキーな問いかけやめてください」


「あららもう一本飲み終えちゃった」


 金谷先輩はビール缶を放り捨てた。しかもロング缶。さすがのハイペースですね。末恐ろしい。


「今年も残り僅かだなー」


「年の瀬ですね」


「てことで今年を振り返ってみようじゃないか」


 定番ですね。鉄板で肉の焼ける音と匂いの中、俺らは今年の思い出を振り返ることにした。


「三日尻、今年で成し遂げたこと挙げてみろ」


「成し遂げたこと?」


「例えばTOEICで900点を取った、海外でボランティア活動した、起業したとか」


「意識高い系ですか。俺は彼らとは無縁なんで」


 TOEICなぞ基準ライン越えたらいいし、海外には行きたくもない、起業なんて論外だ。


「じゃあ何をしたと言うんだね」


「特に何もしてませんね」


 だって基本的に部屋でのんびりしていたから。金谷先輩はため息をついて肩を落としている。


「君にはガッカリだ。大学生のうちにしか出来ないことは山程あるだろ」


「はあ、そうなんですか」


「ヒッチハイクや日本一周や海外旅行、家庭教師になって女子高生を食い荒らすとか」


「一つ犯罪がありましたよ!?」


「ヒッチハイクは別に犯罪ではないだろ」


「女子高生のことだよ!」


 俺の激しいツッコミに対して金谷先輩はゲラゲラ笑うだけ。女子高生に手を出すのはあかんでしょ。それで人生終わった芸人がいるし。数取団好きだったんだけどなー。


「君も次は三年生だ。来年はもっと有意義なことをしたまえ」


「そういう先輩は今年何をやってきたんですか?」


「私はひたすら飲み続けたぞい」


「ただのクズ! 偉そうなこと言ったくせに自分は呑んだくれ!?」


「来年の健康診断が心配だぞい」


「ぞいって語尾やめてくださいイラッとくるから!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ