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103 腕もげる

 いやー、まさか冬の季節に汗ダラダラになるとは思わなかったよー。なぜ汗をかいているかって? 教えましょう、空気がヤバイからです。え、よく分からない? ではこれを見てください。


「駄目! 三日尻君と二人きりなんて許さないんだから!」


「五月女さんが許さなくてもいいです。だって五月女さんには関係ないです」


「関係ありますっ。とにかく駄目ったら駄目なの!」


「む~、でも五月女さんだけズルイです。ズ~ル~イ~!」


「ズルくない~!」


 美少女二人が俺の部屋にいる。うんうん素敵な響きだね、ツイートやFBやタイムラインで自慢したいよ。

 でも違う。違うんです。空気がめちゃくちゃ重たいんです。ピリピリした空気が肌を襲い、寒気がするのに汗が止まらない。これが冷や汗ってやつか。冷や汗ダラダラですよ発汗しまくりですよ。


 さーてここで終わる二人ではないことは重々思い知っている。さらに白熱して最後は俺の腕をもごうとするに決まっているのだ。

 その前に逃げなくちゃ。だが逃走不可能。安土さんに腕を掴まれているから。あっれー、既に詰んでいる~アハハ~。……笑えねぇ。


「三日尻君も何か言ってくださいっ」


「手を離して」


「あ、ホントだ! 安土さん離してください!」


「嫌です」


「はあ?」


 ヤバイ。手を離してとか言うんじゃなかった。五月女が気づいてヒートアップ、安土さんに対抗して空いている俺の腕を掴む。はい分裂フラグが立ちました。


「五月女さん離してください」


「安土さんこそ離したら?」


 いやどっちも離して。


「それに安土さん……ふふっ」


「む、なんですか」


「え~? だって安土さんのサイズじゃあ、ねぇ?」


 そう言うと五月女はさらに密着してくる。すると……ぐおっ、五月女のたわわに腕が埋もれていく!? で、でぃー、これがでぃーの凄さか!

 対してもう片方の腕に当たるのは、柔らかいが五月女と比べると……その、ちょっと物足りない、いやかなり控えめな大きさ……。俺サイテーだな。


「むむぅ~!」


「ふふんっ」


 頬を膨らませて恨めしげに睨む安土さんと勝ち誇った表情で微笑む五月女、ってこいつのドヤ顔ウゼェ!?

 あ、安土さん落ち着いて。比べた俺が言えたことじゃないけど、


「女性の価値は大きさじゃないと思うぞ」


「……じゃあ三日尻君はどうなのですか」


「な、何が?」


「大きいのと小さいの、どっちが好きですか」


「あ、自分も気になるっす」


 ジロ~リ、と左右から向けられる視線。……安土さんと五月女さんが俺を見上げていた。その瞳はやけに燃えてギラギラとして、俺に何かを訴えかけていた。

うっ!? 脳内にメッセージウィンドウが……


『大きいのっすよね!』

『小さくてもいいですよね』


 ヤバイ。俺これ知ってるよ。ラノベで見たことあるシチュエーションだ。え……どっちか言えってこと?


「三日尻君どっちっす?」


「答えてくださいっ」


「あー、えー、そのぉ……」


「「どっちが好きなんですか!」」


 問い詰められると同時に腕を締め上げられていく。腕が、腕が……!


「「三日尻君!」」


 腕がもげはじめた。あ、アヘアへ~……誰か助けて。

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