表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君がいる日常。

鞄を見つけて君を想う。

作者: SYULI

(あーあ。)


思わず溜め息をつくのを抑える。

今日から定期テストが始まり、疲れ切ってしまった。それでも気持ちを切り替えて、明日のテストに向けて勉強しなければならないのだ。


(自習室行くか。)


ここの自習室は席が少ないものの、使う人も少ないのでいつも空いている。仕切りは無く、程よく他人から刺激を受ける為、意欲が高まるので私が気に入っている勉強場所の一つだ。


自習室のドアを開け、席を探す。



(あ…!)

見覚えのある鞄が目に入った。持ち主は席を立っているようだ。一目で持ち主を連想してしまう、その鞄。


期待が高まる。同じ鞄を持った別の人の可能性も十分ある。でもどうしても期待してしまう。

その席からは少し距離があるが、視界の端にその席が入り、持ち主が帰ってくるのを自然に認識出来る、そんな位置に無意識に座っている自分に笑う。


(集中しなきゃ。)

気になりつつ、問題集を広げて解き始めた。




(…!)

どのくらい時間が経っただろう。

自習室のドアが静かに開いた。顔を上げ、声を掛けることはしないが、間違いない。彼だった。


心拍数が上がる。表情には出さないように、また気付かれないようにしながら、彼の様子をうかがう。用事が済み、帰り支度をするようだ。

声を掛けたい。だが自習室は会話が禁止である。そもそも盗み見るような私に、彼に直接声をかける勇気などは無い。


あと少しで、目の前を通り過ぎる。

最後だけでも見たいと顔を上げると。



彼と目が合った。



《ばいばい》

言葉は発さず軽く手を振りながら、彼はそう口を動かし、にっこり笑った。





その後、私のテスト勉強の意欲と物思いに耽る回数とが、同時に高まったのは言うまでもない。


不意打ちの笑顔って反則だと思う。

お読みいただき有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 頭の中で場景を想像……。 『私』がもし自分だったら、勉強が手につかない!(笑) 大鳥はこういうの好きなので、ニヤニヤしてしまうワンシーンでした!
[一言] 不意打ち...!ずるいですよね笑 笑顔なんて...もう素晴らしい(*´-`*) それだけで何でも頑張れそうです笑 続編も見てみたいです|´-`)チラッ笑
2015/09/18 20:05 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ