スザクの御曹司
「は?見合い?」
それは昴が使用人に身元調査を頼んで数日後の事だった。
「はい。島崎梓様を調べたところ、社長が大変気に入った様で…」
「父さんに知らせるなと言ったのに…」
「ですが私にはできるだけ詳細を伝える義務が…」
態々弟の為と言ったのだが、それは意味を為さなかった。
「どうすれば…」
庵だけでは無い、昴には一般人の彼女が居るのだ。
それも、一般人というだけで反対されている。
「見合いは二週間後の日曜となっていますので、ご予定を空けておいて下さい」
それはもう、決定事項だった。
勿論それは、すぐ庵にも伝えられる。
「兄さんと島崎さんがお見合い?何でそんなことに?」
「庵様が気になっている方だからと、私に調べる様命じられました」
という事は、それは父にも伝えられた筈だ。
「僕が気になったから、兄に見合い?」
「はい。昴様は一般の女性と付き合っていらっしゃいますから、別れさせる名目にも丁度良いとも仰っていました」
「何それ、酷すぎる」
父は庵達を馬鹿にしている。
全て思い通りにしたいのだ。
その上庵が気になるものは、望まなくても後継者の兄に行く様にするのだ。
それを当たり前だと思っているから誰もどうしようも無かった。