放課後の誘い
「島崎さん、蓬来さん、桃園君、ご飯一緒いい?」
次の日から、庵は梓の回りをうろちょろし始める。
朝の挨拶から何から、巴より梓にちょっかいを出す。
今まで大人しかった永尾庵は居なくなっていた。
「どうぞ…」
転校生が相手だ。
周りの目もあり、巴はそう答えた。
いつも楽しかった昼食は、庵が入りがらりと変わる。
「永尾君、学校には慣れた?」
「少しづつね」
「じゃあ、わからない事があったら僕に聞いて」
優しい秋は笑顔で言い、それに笑顔で庵も答える。
「ありがとう、そうするよ」
だが、会話はそれで終わる。
「巴ちゃん、梓ちゃん、さっきの英語難しかったね」
「桃園君、英語苦手なの?」
庵が問うと、秋は頷く。
「単語だけでも難しいのに、大変だよ」
「教えようか?」
「本当⁉️」
庵の言葉に、秋は喜ぶ。
「じゃあ、四人でやらない?君達と話してみたかったんだ」
「僕は賛成!」
秋は、笑顔になった。
だが、二人は違う。
「ごめんなさい、断らせて貰うわ」
巴が断ると、庵は梓を見る。
「いいの?桃園君に根掘り葉掘り聞いちゃうよ?」
「……場所は近所のマクドナルド、時間も一時間」
梓は折れた。
内情を知らない秋が何を答えるかわからないからだ。
つまり、梓は逆に庵を監視しなければならなくなっていた。