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巴のクラスの転校生
「永尾庵です」
爽やかな青年は、進学校からの転校生だった。
二学期からの転校生の一人である。
「場所は一番後ろの空いてる席だ」
「はい」
爽やかな笑顔はクラスの女子達を魅了する。
話しかけてくる女子達に、庵は笑顔で対応した。
授業も、問題をすらすらと解く。
そして特に接点も無く、数週間が経った。
「梓、秋君、今日は二人で食べて」
昼食時間、巴は携帯を見ると立ち上がった。
「行ってらっしゃい」
二人は何事も無く見送る。
そして、弁当を開きかけた庵は弁当を閉じた。
庵は後をつける為、教室を出る。
「ごめん、私も抜ける」
「行ってらっしゃい」
秋は、笑顔で見送った。
巴の後を庵がつけ、更に梓がその後をつける。
庵が階段を上ろうとすると蓮と柚が上り、直前で隠れた。
その後庵は上り、さらに梓も行く。
庵は聞き耳を立てていた。
「何してんの?」
「しっ、静かに!」
その時、大声が響く。
「嘘⁉️」
大声を出そうとした庵に、梓が口を塞ぐ。
「永尾君、来て」
梓は庵の手を引くと、近くにあった理科室に入った。
「君、何者?」
梓の問いに、庵は笑顔になった。