人気の無い屋上
「お待たせ」
蓮が言うと、先に来ていた巴は見もせず頷く。
巴は蓮を待たずに既に食べはじめていた。
「座ったら?」
「あぁ」
蓮が座り、その隣に柚は座る。
見もせず黙々と食べる巴に、柚は蓮を見る。
「彼女のどこがいいの?」
その声に、巴は初めて上を向いた。
「柚…?」
「久しぶり、巴」
柚はニヤリと笑う。
「蓮、本当に巴のどこがいいの?」
「え…?」
二人が知り合いという事実に唖然としていた中、蓮は言われる。
更に、当て付けかの様に呼び捨てだった。
「高梨!」
柚は、いつもより意地が悪い。
「高梨?」
「うちの両親が死んだのは知ってるよね?高梨は養子先の名前なの」
その言葉には怒りが含んでいた。
「二人とも、知り合いだったのか…?」
「そう、昔の友達。今は大っ嫌い!」
柚はそう言い切る。
「何で巴がいいの?あなたも潰されるわよ?」
その中に、昔の柚の面影は無かった。
頭の中を整理した蓮は、落ち着きを取り戻す。
「その心配は無いよ。ちゃんと巴の両親に挨拶しているから」
「期間限定の彼氏って事なのね。お金の雇われ彼氏!」
「高梨、お前いつもより酷いぞ」
「ごめんなさい。でも、それなら私と二股かけても問題無いよね」
急に柚は可愛く言った。