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目撃者
「ちょっと、くっつかないで欲しいんだけど」
柚は案内をする蓮にベタベタくっつく。
明らかに困り顔でも、柚は離れなかった。
「あれ、蓮じゃない?」
下校の為に下りていた巴、梓、秋はそれを目撃する。
「…帰りましょう」
一瞥すると、巴は興味無さそうに離れる。
「巴、どうするの?」
「明日にでも注意するわ」
たったそれだけだった。
夜、巴は蓮に電話する。
「貴方は私の彼氏なのよ、人前で他の子とベタベタするのは遠慮して頂戴」
巴は冷淡に告げる。
嫉妬等は無い。
そもそも、カップルのフリなのだから当たり前だ。
「あれは高梨が!」
「じゃあ、表でベタベタするなと高梨さんとやらに伝えて頂戴」
「だから違っ!」
注意する為の電話はそれで終わりだった。
「巴、勘違いしてるな…」
切れた電話の前で呟く。
これで嫉妬してくれれば嬉しいが、そんな素振りは微塵も無かった。
「まだ秋の友達ポジションの方がマシだったよな…」
蓮はため息をついた。