巴と柚
「巴、モールに行きたいんだけどついてきてくれない?」
その日は生徒会で学校に来ていた。
「いいわよ」
巴が了承すると、梓は胸を撫で下ろす。
「一人で行きづらいから助かるよ」
「そんなもの?」
そもそも買い物に行かない巴にはその感覚はわからない。
だが、梓と居る時間はホッとする。
「買い物ですか?」
「私達も行きたい!」
萌と愛はそんな二人の話を聞いて乗り出す。
結局、二人に負けて四人で行く事になった。
昼はマクドナルドで軽く食べる。
梓の目的は服、それから二人の提案でゲームセンターと本屋にも寄る事になった。
ラ・ブルースという行き着けから始り、色々な服屋を梯子する。
二人が雑貨屋も行きたいと言うので待っていると、見覚えのある人物を見た。
それは、柚という昔仲の良かった友達だった。
瞳の策略で借金をして自殺、柚はどこかに引き取られたところまでしか知らない。
「ゆず…」
「お待たせ」
三人が雑貨屋を出てきてそちらを見る。
もう一度見た時には彼女は居なかった。
「巴、どうしたの?」
「何でもない」
動揺を隠し、答える。
「じゃあ、ゲームセンター行きましょう!」
愛提案の場所へ、今度は向かう。
その後、柚らしき人物を見る事は無かった。