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巴の彼氏

「巴、待って!」

三人の後から背の高い人物が駆けてくる。

ショートカットのアクティブな女生徒だ。

「光…」

三人は止り、巴は諦めた顔をする。

どいつが彼氏だ?

知は彼氏の名前を知らない。

女、これはさすがに違う。

おとなしそうな奴?それとも他に?

話が合うのか、三人は楽しそうだが、後から来た女生徒は微妙な顔をした。

巴とおとなしそうな奴の間に後から来た女は陣取る。

「巴さん!」

知が声をかけると、巴の表情が変わる。

無表情に近い感じになった。

「誰ですか?」

本当は知っている。

だが、業と問う。

「高木知、君に会いに来たんだ」

そして、ちらっと三人を見た。

「私の同級生です」

業と友達という言葉を使わない。

「君が彼氏かい?」

知は直球で秋に問う。

「違います、ここには居ません」

「彼氏なのに?」

「えぇ」

そう知に対応すると、巴は振り返る。

「先に行って」

「わかった」

梓は返事をすると、二人を無理矢理連れ出した。

「会うのは土曜の筈、迷惑です」

初めて会ったとき、先程の様に屈託なく笑っていた。

だが、いまは違う。

「お引き取り下さい」

「っ!俺は婚約者だ、来い!」

巴は無理矢理腕を捕まれる。

「君、やめなさい!」

「生徒会長」

ざわつきと双子の連絡により尊は駆けつけていた。

「あんたが彼氏か?」

「残念だが違う。婚約者なら大事にするべきだ、最低限俺ならそうする」

知と尊は睨み合っていた。

「ここは学校、部外者は帰って下さい」

尊は言うと、巴の両肩に手を置き校内に引き返した。

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