80/113
伝令
「はい、わかりました」
電話の相手は瞳、家にかかってきた電話でそう応答する。
瞳は事務的に、知に伝えた事を言った。
今回の用件は、彼氏を知に紹介して諦めさせる事だ。
ただ知は仕事が、巴は学校があるので土曜に会う事にはなる。
場所はレストラン、知を巴の家に行かせたくない故だ。
「すみません、千羽蓮君は居ますか?」
昼休み、昼食後にすぐ蓮のクラスへ向かう。
「巴、どうした?」
その言葉にクラスがざわつく。
本当は朝にも会っている。
その時業と言わなかった。
それは、付き合っている事を周知の事実にする為だ。
「土曜に会います。同行をお願いします」
笑顔で用件を伝える。
そうして、巴は蓮のクラスから去った。
「お帰り、早かったね」
「用件を伝えただけだから」
巴は二人に言う。
そして、そのまま他愛の無い会話を始めた。
「巴の彼氏、どいつだ?」
放課後スーツ姿の知は、巴を待ち伏せていた。
蓮は部活で別々だ。
巴は二人の男女と三人で校舎から出た。