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成立した契約会社
「ピンポン」
休日昼、桃園家のチャイムが鳴る。
それは、この家の者達にとっては待ち遠しいものであった。
「久しぶりだな」
現れたのは一組の夫婦。
そう、蓮の両親だった。
「おじさん!」
桃園一家は連絡の両親に駆け寄る。
数年ぶりの再会に、皆懐かしんでいた。
「蓮、秋君、久しぶりだな」
「お久しぶりです!これからは日本に住むんですよね!」
「そうだ、次の契約期間中はまたここに居候させてもらうよ」
「久しぶり、お帰り」
「蓮、ただいま」
「ただいま、蓮」
桃園夫婦と話していた奈央も言う。
「母さん、父さんお帰り」
蓮は少しウルッとしてしまった。
親子三人は包容する。
そして、蓮司は今度は桃園夫妻の方へ行った。
「母さん、父さんの仕事はいつ決まるの?」
「もう決まったわ」
「何処になったの?」
「珍しいわね。高校生になったからかしら、父親の仕事が気になるのね」
「まあね。で、何処?」
「高木ホールディングスよ、有名だから名前くらいは知っているわよね」
その言葉に蓮は絶句した。
「蓮、どうしたの?」
「蓮?」
秋と奈央は心配する。
「何でもない…」
蓮は言うと、一足先にリビングに戻ってしまった。