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千羽蓮
「千羽、あんたって…」
「何処に勤めているの?」
巴はストレートだった。
巴にとって、蓮は仲が良いに入らないらしい。
「YMCソフトウェア」
YMCといえば海外大手である。
だが、契約がもうすぐ切れる。
「おじさん凄いよね、ちゃんとおばさんとラブラブだもん」
そんなこと、巴にとってどうでもいい。
「千羽くん、お父さんの名前は?」
「蓮司」
今度その名前に反応したのは梓だった。
「千羽蓮司って、今スカウトしようとしてる人じゃない!」
「梓、そうなの?」
内情を知ってる人と知らない人の差はここで出る。
今度は秋と蓮がポカンとする番だった。
「凄い人よ、今度接待で家に呼ぶって言ってたから」
「シマザキにね…」
再び巴は考える。
まさか身近に条件が近い人物が居るとは思わなかったのだ。
「あ、ヤバい!もうすぐ時間が!」
蓮は時計を見ると言う。
「本当だ!蓮、早く食べて戻った方がいいよ!」
「そうだな!」
蓮は急いで食べると戻っていった。
「梓、必ず彼の父親を引き抜いて」
「わかった、父に伝えておく」
真剣な二人に、秋は訳がわからなかった。