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杏の彼氏
「尊、何の用?」
杏は操と共にやって来た。
「ごめん、ばらした」
「何を?」
「君達二人の事」
「尊!」
そう、怒るのは二人同時だった。
二人は尊に詰め寄る。
だが、尊は楽しそうな困った様な表情をしていた。
「ごめん。でね、杏が二股してるって。海堂まきって人と」
「あっ!」
操は驚き口を隠す。
「海堂まきって操の親戚の女の人だよね?どうなってるの?」
巴は唖然とする。
三人のテンポについていけないのだ。
「二人とも、蓬莱さんも、今から言う事は黙っててくれる?」
操は意を決するとそう言う。
そして、事の発端を話し始めた。
「海堂まきは、真紀さんでもあるけど僕でもある」
そう言うと、一冊の雑誌を出す。
今は放課後、操は鞄を持って来ていた。
「これ、メンズノンノンって雑誌なんだけど表紙見て」
そこには一人の青年が映っていた。
「これ、僕」
操はページをめくると、モデルの名前を指差す。
そこには海堂真季と書いてあった。
「真紀さんの名前をもじって借りた」
操は言い雑誌を閉じると、前髪を上げた。
それは確かに海堂真季だった。