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予想外
放課後、巴は資料整理をしていた。
誰も居ない生徒会室は、そういう意味では最適である。
誰かに頼まれた訳ではないが、黙々と進める。
「あれ、今日はどうしたんだ?」
そう、本日は集まる予定や仕事は無い。
ただ巴が一人になりたいだけ。
「生徒会長こそ、どうしたんですか?」
「君がここの鍵を借りただろう、何事かと思ってね」
「あぁ、すみません。ちょっと一人になりたくて…もう少ししたら鍵を返します」
「いや、いいけど…どうした?」
「えっと…」
巴は躊躇う。
ある意味自らには関係ない悩みであるからだ。
「斉賀先輩とは友達なんですよね」
「そうだけど」
突然出てきた杏の名前、それに尊は戸惑った。
友人が何かしでかしたのか、そう思う。
「杏先輩の彼氏って…」
「あぁ、杏と操の事か」
尊は安堵した。
特に問題を起こした訳では無いとわかったからだ。
だが、逆に巴が驚く。
「二股?」
つい、巴は口に出す。
流石にこれは無視できない。
「生徒会長、海堂真季って知ってますか?」
巴はそう、口に出した。




