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ぐるぐると回る
あれは杏の恋人だった。
少ししか見ていないが、間違えようがない。
巴は自らの部屋で勉強しながら考える。
いや、勉強が手につかない。
杏の恋人が普通に生徒だったら、そこまで考えはしないだろう。
だが芸能人となると、遊ばれている確率もある。
いや制服を着て潜り込む程だ、本気なのだろうか?
だとしても…
他人の事だが生徒会の仲間だ、規律が乱れる訳にもいかない。
「駄目ね、無関心にならなきゃ」
巴は呟く。
目をつぶり息を整え、机の上の教科書とノートに目を向ける。
いい成績を修めるには予習と復習、その後数時間は勉強に力を入れた。
殆ど見ることができなかったが見間違いの無い顔。
だが、見覚えもある気もする。
勉強しては頭をよぎり、切り替えて再び勉強してはまた頭によぎる。
「今日はここまでにしましょう」
巴は伸びをする。
最低限を終えた巴は、勉強をすることを諦めた。
ベッドに入ると目を瞑る。
そして、いつの間にか夢の中へと入っていった。




