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変わりゆくもの
海堂真季、それは二ヶ月前に急に雑誌に登場したイケメンモデルだ。
巴はその姿を光と共に見る。
「え…?」
巴は驚く。
それはそうだ、彼は杏の恋人だったからだ。
「巴、ああいうのが好み?」
「そうじゃないけど…」
「そう?ならいいけど」
光は海堂真季より巴が気になる。
珍しい反応をした巴に、光はくるりと踵を返す。
「戻ろう!」
光は言うと、巴の手を取り人混みを出た。
「髪、切ろうかな?」
ぼそりと光は呟く。
「光?」
巴は、光の小さな呟きをちゃんとは聞き取れなかった。
「どうだった?」
「別に?」
光は無関心になる。
そして、巴の手を引くとその場から離れた。
「ねえ、お揃いで買おうよ!」
色違いやお揃いを時々提案しながら、光は巴にべったりだった。
「光、最近どうしたの?」
梓は光を巴から引き剥がすと問う。
関心を示す事はあっても今までここまで酷くはなかった。
「梓こそ、何で邪魔するの?」
光は梓を睨む。
友人である梓に対して見る目は、敵対心だった。




