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密かな恋人

「杏先輩?」

それは生徒会に入ってしばらく経ったある日の事だった。

廊下を一人歩いていた巴は、同じく生徒会の斉賀杏を目撃した。

彼女は巴に気付かず去っていく。

何となく気になった巴は、彼女を追った。

そこは人気の無い場所、杏はキョロキョロ辺りを見回すと安堵した。

「?」

待ち合わせらしく、彼女はそこで待つ。

「杏」

巴が居る場所とは反対方向から、男子生徒がやってくる。

キラキラのイケメン、だが巴はそんな生徒を知らない。

彼は後ろから杏を抱きしめる。

そして、キスをすると座った。

そう、それは逢引きだった。

そんな二人を観察するのは野暮だ。

巴は校舎内に戻り、本来の目的地へ向かうことにした。

とはいっても気になるものはなる。

特に男子生徒、あんな生徒居ただろうか?

最初は三年、二年、一年、そして教師、全部見たがわからなかった。

「蓬莱さん、もう来てたの?」

操が現れ、後ろから杏も現れる。

「あ、はい」

写真付き名簿を直すと、巴は椅子に座った。


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