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推薦者の正体
それは、業務に慣れた頃だ。
「私達は名前挙がってなかったんですよね?どうやって知ったんですか?」
資料を片付けながら、唐突に巴は問う。
「あぁ、あれね。前にも言った様に成績は勿論だけど、推薦者が二人居たんだ。一人は担任だけどもう一人、成瀬先生が君を推してね」
「えっ!」
巴は驚く。
それはそうだ、その頃には悠は巴の存在を知っていた事になるのだ。
「蓬莱さんは、帰宅部だよね?成瀬先生との接点がわからないんだけど」
「私もわかりません」
巴は冷や汗をかく。
「きっと、先生が何か言ってたんでしょう」
出鱈目を言う。
悠とは知り合いだ、あり得ないのは巴が一番知っている。
だが、接点を知らない人はそうなのだろうと思うのだ。
「そうなのかな?まぁ、そうなのだろうな」
それは予想通りだった。
その後は普通に業務をこなす。
そして巴は帰っていった。