萌奈の思惑
最後は更科シスターズだった。
「じゃあ、次私だね!お兄ちゃん、愛奈達の事好き?」
「待ってよ愛ちゃん、それ普通過ぎるよ!」
杏達の質問も分かりきっているものだったが、萌奈は遮る。
「萌、当たり前でも重要だよ!言葉で聞かないと!」
「…わかった。お兄ちゃん、答えて」
結局萌奈に促される。
「勿論、お前達の事嫌いなわけ無いじゃないか」
「だよね!お兄様、大好き!」
それはもう、愛奈は大喜びしていた。
だが、当たり前の事である。
杏はそれは無視して締めくくりに入る。
「じゃあ、全員回ったから…」
「私はまだです」
萌奈の言葉に全員が見る。
先程の質問は二人からだと思っていたのだ。
「でも、さっきのは二人からでしょう?」
「あれは愛ちゃんの質問です」
「そう。なら、どうぞ」
萌は息を吸い、冷静になる。
「わたしは、巴さんが気に入りました。お兄ちゃん、巴さんはどう?」
「萌!」
愛奈は慌てる。
愛奈には先程の趣旨がわかっているからだ。
「二人とも、どういう事だ?」
尊は二人を見る。
「私は反対!お兄様、蓬莱さんと付き合おうなんて思って無いよね!」
「それはお前達が気に入らないと…えっ!」
そう、萌はきっかけを作ったのだ。
巴なら良い、そして兄が巴を意識するように、と。




