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新しい辞令と巴と友達が監視されていた理由
「愛、お兄ちゃんを困らせるんじゃない」
怒る事もできず、困ったまま言い聞かせる。
そもそも二人が自らの居る学校に入学する事自体尊は反対だった。
「尊、ちょっといい?」
杏が尊を呼ぶ。
「お兄様!」
「愛ちゃん、ちょっと待とう」
「萌!」
萌奈のお陰で愛奈はしぶしぶ待つ。
その間に尊は杏と合流した。
「さっきの感じだと、あの子達を放っておくのは危険だわ」
「だが…」
「二人を私達の補佐にしましょう。愛奈ちゃんの方は私が、萌奈ちゃんは操が。操もそれでいいわよね」
「うん」
操は頷く。
幸い補佐の席は空席だった。
「二人とも、いいよ。愛は書記補佐、萌は会計補佐に任命します。納得できるよね」
「はい…」
愛奈は力無く返事する。
「いい子だ」
尊が愛奈の頭を撫でると、萌奈はホッとした。
「でも…」
愛奈は呟く。
そして、巴に近づくと突拍子も無い事を言う。
「お兄様の事をどう思ってるの⁉」
「え?」
巴は驚く。
だが、監視されていた理由も同時にわかった。