友達である巴と梓は
「嬉しいな、二人で来てくれるなんて」
更科尊は、ニコニコ顔で二人を出迎えた。
尊の側には、既に生徒会入りが決まっている杏がいる。
噂ではもう一人決まった生徒がいるらしいが、その人は居ない。
巴と梓、二人が来た理由は勿論断る為だった。
「光に虚偽を言って風紀委員に入れましたね?」
巴は尊を睨む。
顔つきが厳しいのは梓も同様だ。
「嘘は言ってないよ、君達は生徒会に入るんだから」
此方は断っているというのに、尊はやはり笑顔だ。
「蓬莱巴さん、貴方は真面目で成績も優秀。島崎梓さんも蓬莱さんには成績が劣るものの、一部生徒に人気がある」
杏は二人の資料を読み上げる。
「でも、予想では私達の名前は挙がっていませんよね」
巴は冷静に、言い返す。
そう、巴と梓の名前は挙がっていない。
「だからだよ。今年の予想は人気者ばかり。そういう生徒は風紀委員に入ってもらう事にしたんだ。それに、蓬莱さんは推薦もあったしね」
推薦、巴はその言葉に反応する。
だが、その直後に生徒会室の扉が開く。
「尊、広めて来たよ」
「ご苦労様」
尊は突然入って来た生徒を労う。
「彼は生徒会の乾操、乾君にはあなた達が入ったと噂を広めてもらって来たの」
杏は丁寧に二人に解説する。
そして二人は、光をエサに呼び込まれた事を知った。