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教室に来た生徒会長は友達候補か?
「蓬莱さん、居ますか?」
それは生徒会長選挙が終わって数日後の事だった。
来訪者とその者の名指しした人物にざわつく。
「ほ、蓬莱さん…お客さん」
色々な意味で青ざめ、クラスメイトは指を指す。
そこに居たのは、生徒会長になった更科尊だった。
教えてくれたクラスメイトに素っ気なく礼を言うと、出入り口に向かう。
「何か用ですか?」
睨む様に、巴は尊に問う。
巴は彼の事を知らない。
知っているのは生徒会長になったという事だけ。
尊はマジマジと巴を見る。
「うん、決めた。生徒会に入ってくれませんか?」
「お断りします」
冷静を装い、巴は返す。
だがなぜ自分なのか、全くわからない。
瞳が手出ししたのか、担任が推薦したのか。
それともそれ以外か。
「うーん…ま、考えててよ。じゃあね」
尊は手を振り去ると、遠ざかってゆく。
ズボンのポケットに手を突っ込み歩くと、周りの生徒達はざわめいた。
イケメン生徒会長は、何故巴を指名したのか。
それは謎のままだ。




