友達依頼
「瀬尾さん、ちょっと話があるんだけど」
巴は放課後呼び出す。
彼女なら媚びる事は無いだろうと思ったのだ。
「私の友達のフリを頼みたいんだけど」
「…は?」
光は呆気に取られる。
誰にも聞かれない様行った屋上で、光は思いもしない事を頼まれたのだから。
「タダとは言わない。ちゃんと見返りは返す」
「ちょっと待って、どういう事?」
頭がついていかないらしく、光は頭を抱える。
「だから、私の家に来て友達のフリをして欲しいの。他の友達に接する様にすればいいだけだから」
簡単でしょ?、と巴は付け足す。
「何で、私?」
「誰に対しても同じ様にできるでしょ?学校ではフリをする必要は無い。私が頼んだ時、多分一度きりでいい筈だからお願いします」
巴は頭を下げる。
「見返りは返せる範囲なら一回に一度、返すから」
巴は必死だった。
他にめぼしい人が居ないのだから。
光は考え、そして告げる。
「…わかった。見返りは挨拶、ちゃんと聞こえる様に返して」
光は笑む。
今度は巴が呆気に取られる番だった。
「そんな事でいいの?お金とか、食券とか、1日パシリとかあるでしょう?」
「別にそんなの望まないけど?」
光はあっけらかんと答える。
「私はただ、蓬莱さんがどんな人か気になるだけだよ」
そう言うと、光は去っといった。