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友達になろう
「瀬尾さん、蓬莱さん!」
苺は笑顔を振り撒く。
「あら、松宮さん」
巴も笑顔でないものの、外対応をする。
彼女は簡単に部屋に戻った、瞳の内通者だから。
「次は何の授業なの?」
「私達のクラスは美術よ、松宮さんは?」
「こっちは数学、ただトイレに来ただけだから」
「あら、邪魔しちゃったわね。行って頂戴」
「うん、じゃあね」
苺が去ると、巴はため息をつく。
「光、行きましょう」
「そうだね」
そうして二人は歩き始める。
「何で彼女に対応してるの?」
「彼女はあの人に通じてるから、気を付けないと」
「ふーん」
光は納得したような、していないような返事をする。
「光、早く向かいましょう」
「そうだね」
二人の足は、少しスピードを早めた。
「はぁ、間に合った」
苺は御手洗いに着く。
個室が空き、中に入ったのだ。
用を足し、手を洗うと苺は歩きながら考える。
巴はガードが固い。
自分へのものと光や梓へ向けてとは結構違う。
それでも無視されないだけマシだろう。
蓬莱巴と高木瞳、彼女等はどんな関係性なのだろう。
苺は考えるが、一般人である彼女には調べる術が無いのだった。




